スタンフォード大学 教育学・心理学教授のJ.D.クランボルツ博士が提唱した学説で、「計画された偶発性理論」というものがあります。ちょっと矛盾したような感じの言葉にも捉えられますが、人生の機微を捉えた、非常に含蓄のある理論だと思います。
クランボルツ博士は、人生・キャリアを「あらかじめ計画したとおりや、期待したとおりには決してならない」と考えています。現に、アメリカの一般社会人対象の調査では、18歳のときに考えていた職業に就いている人は、全体のたった2%に過ぎなかったそうです。
初期・後期研修医の時に「こうなりたい」と思った医師像・理想像に、ご自身がそうなっているかと言えば、その確率は低いのではないでしょうか。「あらかじめ計画したとおりや、期待したとおりには決してならない」という現実があるからです。
ですが、逆に考えれば、自分の思い描いた理想像以上に良い道をご自身が歩んでらっしゃるということもあるわけです。
そこで重要なのが、この「計画された偶発性理論」なのです。説明すれば、自らが計画して起こした行動から、そこで自分でも思いもよらない偶然のチャンスをつかみ、それをその後の人生に生かそうとするキャリアづくり、ということですね。
初期・後期研修医の先生方に置き換えてみれば、研修中に色んな経験をすることが重要です。初期研修医の時に、「自分はこの科に進むから、他の科はおざなりでいいや」と思っていても、実はそこに思いもよらぬチャンス、そして志望する科が変わる可能性が転がってたりします。
後期研修医であれば、上司に「押し付けられた」と仕事をとらえるのではなく、それを学ぶ機会であると捉えたり、積極的に学会参加をすることで、刺激や将来のビジョンがより明確になることもあるかもしれません。
さらに、後期研修中、もし今の病院などに不満があり、将来のビジョンがかすんでしまうようなことがあれば、新たな求人先を探してみるのもいいかもしれません。
一度、「エムスリーキャリア」や「リクルートドクターズキャリア[PR]」に登録して、エージェントと相談してみてはいかがでしょうか。その相談中、新たな発見があるかもしれません。
相談中、「今の病院は、実は良い研修に良い環境なんだ」など、新たな発見があり、今の病院にとどまる選択をしても、それはそれで、意欲を高める良いきっかけ・刺激になるかもしれませんね。