毎年この時期になりますと、労働衛生コンサルタントの口述試験が実施されています。受験予定のある方は、勉強も大詰めの時期なのではないでしょうか。
産業医になりますと、この「労働衛生コンサルタント」の資格のことをよく耳にするわけですが、そもそも取得することでのメリットとはなんでしょうか?資格を取得しようかどうしようか考え中という方のために今回は、「労働衛生コンサルタント資格を取得しておいた方がいいと思う3つの理由」について書いてみたいと思います。
認定産業医の更新からの解放
日本医師会認定産業医は、5年ごとに更新申請を行うシステムとなっております。ですが、「あくまでも日本医師会認定産業医の資格」であり、厚労省の認可する産業医資格までもが喪失してしまう、というわけではありません。ですので、「別に認定産業医の更新期限を過ぎていようが、産業医は続けられる」というわけです。
しかしながら、一方で企業の立場からすると、「他の先生は更新してるのに、なぜあなたは更新しないんだ?」「あとで労基署に細かいところを突かれるのはウチなんだ。万が一、そんなところを突かれないためにも、更新ぐらいしてくださいよ」と求められるかもしれません。また、転職の際にも「期限切れ」のことを指摘される可能性もあります。
ということで、同調圧力と言いますか、認定産業医の資格のみということですと、「仕方ない、更新しとくか…」ということで更新せざるを得ないというようなところがあります。
一方で、労働衛生コンサルタントの資格は更新不要であり、なおかつそれ単体で「産業医資格を有する」証明となりえます。大手を振って「もう更新しない」ということが言えるわけです(こんなことを言うと、日本医師会の方から怒られそうですけどね)。
産業医を続ける上で、やはり煩わしさを感じてしまう+更新の費用をとられる「認定産業医の更新」をやめられるというメリットがあるのではないかと思います。
転職で有利な資格
産業医の専門医資格で言うと、「日本産業衛生学会認定専門医」がありますが、こちらを取得するためには、受験資格である以下の要件を満たす必要があります。
1.初期臨床研修の修了若しくは相当する臨床医学の経験を有していること
2.産業医学に関する基礎研修を修了していること(以下が該当)
(ア) 日本医師会認定産業医制度基礎研修会の修了
(イ) 産業医科大学産業医学集中講座の修了
(ウ) 産業医科大学産業医学基本講座の修了
(エ) 産業医科大学医学部卒業および産業医学総合実習の修了
3.日本専門医機構の認定する専門医資格を有する者(平成29年4月以降に初期臨床研修を終了された方のみ)
これだけ見ても大変そうですね。さらには、専門医試験もクリアする必要があり、途方もない労力が要ります。
一方で、労働衛生コンサルタント資格は試験のみで取得可能です。さらに言えば、産業医学講習会を受けていれば記述試験が免除となり、口述試験のみとなります。この点、労働衛生コンサルタントの方がコスパは非常に良いです。
両方とも転職で有利に働くと言えますが、やはり「試験だけ」の労働衛生コンサルタント資格は取得しやすいため、とてもオススメです。
しかも合格率も3割程度で難関とされていますので(実際は、コツを押さえた勉強をしていれば受かります)、企業の採用担当者がこの試験のことを知っていれば、「凄い資格を持っている人」と認識してもらえます。
実務で役立つ知識が得られる
私も労働衛生コンサルタント試験を受ける前は、お恥ずかしながら「3管理ってなに?」「許容濃度?管理濃度?」「4つのケア?なにそれ」「メンタルヘルス不調者の職場復帰支援…よく分かんないなぁ」というレベルでした。
しかしながら、こういったことを知っていなければ試験には受からないわけで、強制的に勉強することで知識量は格段に増えたと思います。やはりこの差は歴然としたもので、必ずや産業医の実務に活きます。
ですので、日頃、産業医の仕事を「漠然とした知識でやってしまってるなぁ」とお思いでしたら、ぜひ勉強した上で、労働衛生コンサルタント試験を受けてみることをオススメします。
以上です。もしこれから「労働衛生コンサルタント試験を受けてみよう!」ということでしたら、私が以前書いた労働衛生コンサルタントの口述試験対策本、
産業医のための労働衛生コンサルタント口述試験対策マニュアル: 一発合格するための秘訣
→こちらは労働衛生コンサルタントの口述試験のコスパの良い勉強法を掲載しています。
まずはこれだけ!労働衛生コンサルタント口述試験対策問題集: 必須の41問
→こちらは、労働衛生コンサルタント口述試験で頻出の問題・解説を掲載しています。
がございますので、ご参考にしていただけますと幸いです。