「仕事に対する不満」を抱える社員に産業医としてどう対応すべきか【産業医マニュアル】

産業医として、社員と面談する機会は多いですが、「仕事に不満はない、大満足」と思っている方は稀で、ほとんどの方は少なからず不満を持っているように思います。

上司に対する不満、業務自体に対する不満、報酬・待遇に対する不満…などなど、様々な不満はありますが、そのようなことを抱える社員さんに対して、面談の場でどのようなことを行うべきなのでしょうか。

基本は傾聴・共感

基本的には、まず社員さんの話を傾聴します。「それ、分かります」という共感の姿勢をとりつつ話を聞くことが必要だと思います。

不満の原因が解消されなくても、「自分のために十分な時間を取って話を聞いてくれた」という場合、不満の6~7割は解消するという研究結果もあるようで、傾聴・共感というのは産業医にとって大事なことだと思います。

また、不満の中には会社にとって必要な改善すべきポイントが眠っている可能性があります。そのような場合は、「人事側にお伝えして、相談してもよろしいでしょうか?」「安全衛生委員会の場で話し合ってみたいと思いますが、よろしいでしょうか?」などと提案することもよろしいのではないでしょうか。

受診が必要かどうかの判断

不眠症状、抑うつ症状、食思不振、興味関心の喪失…などなど、メンタル疾患を疑わせるような症状などがあるかどうか、受診する必要があるかどうかなどを話を聞きつつ判断する必要があります。

メンタル疾患が疑われていたり、あるいは本人から「実は受診を考えていて…」といった話があった場合は、受診を勧めた上で、どのようなクリニック・病院に受診すべきかという相談に入っていくことになります。

今すぐの受診が必要でなくても、今後必要になるかもしれない「グレーゾーン」の方もいらっしゃることがあります。その場合は、「次回、少しお時間をあけて面談を」と、フォローアップすることも必要だと思います。

パワハラか否かという問題

上司への不満をお持ちの社員さんの場合、「上司のパワハラが…」と相談されることもあります。

そのような場合、本当にパワハラに該当すべきかどうかといったことを考えつつ、必要があれば人事側への相談、会社に専門の窓口があれば、そこに相談するよう促すといった対応が必要になってくると思います。

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