経済的な理由が大半で「復職を望む」という社員の復職可否判定をどうすべきか【産業医マニュアル】

仕事を考える上で、やはり「食うために働く」という側面が大きいのではないでしょうか。もちろんそのことは否定しませんが、復職にあたって「経済的な理由」が前面に出てきてしまっている社員はちょっと注意が必要かな、とも思います。

「貯金もない、働かなければ生活できない」という訴えの社員さんもおられるのは確かですが、かと言って病状の快復が復職にあたって十分でない場合、「本当に復職して大丈夫?」とも思うわけです。

さすがに経済的な問題に踏み込んで「解決しよう」ということは産業医としては厳しいので、その点は人事労務担当者に相談は必要かと思われます。

その一方で、産業医としてどう対処したらいいかと言いますと、まずは「復職が可能な条件」を明示し、どこが条件的に足りないかを自覚してもらい、「それまでは復職を待ってください」と言うようなことがあります(条件としては、生活リズムが整っていること、復職する上で困らない程度の体力が快復できていること、通勤訓練が実施できていることなどを挙げたりします)。

ただ、それでも「じゃあ、先生はカネもない、生活もできない私に死ねって言ってるんですか」など、半ば脅しに近い言葉をかけられることもあります。その場合は、1~2週間単位の短期間で経過を確認し、「では、活動記録表の確認や、通勤訓練が実施できるか確認してみましょう。それがクリアできていれば復職OKと判断します」などと譲歩しつつ課題を提示したりしています。

ここでの注意点としては、通勤記録表の提出だけなどでは「本当に通勤訓練を実施しているか」といった確認ができないため、できれば「朝、一回会社に顔を出してくださいね」といったことを言っておくとよろしいかと思われます。

経験的にですが、やはり快復が不十分ですと、「2週間、通勤訓練を完遂できない」ということが往々にしてあります。その場合は「もう少し休養期間が必要ですね」と結論づけるということになります(完遂できない、ということで本人も納得することが多いです)。

もちろん、経済的な理由で背中を押されて「働こうと思った」という方も中にはおられますので、否定はしませんが、かと言って病状快復の確認が疎かになっていいというわけではないと思いますので、やはり「本当に快復してる?」ということは確認をすべきではないでしょうか。

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