新型コロナウイルス対策で「産業医面談をテレビ電話で」とする上での注意点【産業医マニュアル】

新型コロナウイルス対策の一つとして、「ノー3密」(密閉空間、密集場所、密接場面を避ける)と言われていますが、その上で「産業医面談をテレビ電話で」とお考えの産業医の先生方や、人事労務担当者もおられるかもしれません。

しかしながら、この「産業医面談をテレビ電話で行う」上では、いくつかの条件があります。その根拠となるのは、「情報通信機器を用いた面接指導の実施について」という通達ですが、ここには、

まず産業医の要件として、
・面接指導を実施する医師が、対象労働者が所属する事業場の産業医である場合。
・面接指導を実施する医師が、契約(雇用契約を含む)により、少なくとも過去1年以上の期間にわたって、対象労働者が所属する事業場の労働者の日常的な健康管理に関する業務を担当している場合。
・面接指導を実施する医師が、過去1年以内に、対象労働者が所属する事業場を巡視したことがある場合。
・面接指導を実施する医師が、過去1年以内に、当該労働者に直接対面により指導等を実施したことがある場合。

といったもののいずれかが必要になります。常勤の産業医、ないし嘱託産業医で「月1回、職場巡視や衛生委員会に参加している」といったことでしたら問題なさそうですね。

また、面接指導に用いる情報通信機器の要件は、
・面接指導を行う医師と労働者とが相互に表情、顔色、声、しぐさ等を確認できるものであって、映像と音声の送受信が常時安定しかつ円滑であること。なお、映像を伴わない電話による面接指導の実施は認められない。
・情報セキュリティ(外部への情報漏洩の防止や外部からの不正アクセスの防止)が確保されること。
・労働者が面接指導を受ける際の情報通信機器の操作が、複雑、難解なものでなく、容易に利用できること。

この全てを満たす必要があります。Skypeなどの利用が考えられるところですが、ご高齢の社員さんで、そうした機器の扱いが不慣れなことが想定される場合は、ちょっと導入・開始までの周知が大変そうですね。

情報通信機器を用いた面接指導を実施するためには、
・情報通信機器を用いた面接指導の実施方法について、衛生委員会等で調査審議を行った上で、事前に労働者に周知していること。
・情報通信機器を用いて実施する場合は、面接指導の内容が第三者に知られることがないような環境を整備するなど、労働者のプライバシーに配慮していること。

が必要になります。衛生委員会の周知が必要となるようです。

また、「情報通信機器を用いた面接指導において、医師が緊急に対応すべき徴候等を把握した場合に、労働者が面接指導を受けている事業場その他の場所の近隣の医師等と連携して対応したり、その事業場にいる産業保健スタッフが対応する等の緊急時対応体制が整備されていること」という注意点もあります。

緊急の場合はすぐさま対応できることが必要になるようですが、対応のためのシステム作り、緊急時の対応フロー作りが必要になりそうですね。

以上です。
今後、新型コロナウイルス対策の上で、要件・条件の緩和がみられるかもしれませんが、現状では上記をできるだけ満たすように実施することが望ましいようです。

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