「人事からの産業医への面談依頼」に警戒する社員へ安心感を与える方法【産業医マニュアル】

「よく居眠りをしている社員がいる」と、上司・人事から面談依頼がありました。元々、持病がある(神経内科に通院中の慢性疾患)社員でもあったため、上司も心配になり、人事へと相談し、さらに人事から私に面談依頼がやってきた、という次第です。

初回の面談では、その社員はかなり緊張した様子であり、ご自身の評価を気にするあまり、「できるだけ自分に不利にならないように」と言葉を選んでいる節がありました。実際、毎日のように居眠りしていたにも関わらず、「月に2回程度」と事実と異なることもおっしゃっておられ、警戒感・自己保身的な発言が数多く見られました。

さてそこで、私としましては、
・上司、人事、産業医(私)は、病気が悪化しているのではないか、体調悪くて就業に影響があるのではないかと心配している。
・居眠りしていることで、「懲罰的な動きがあるのかもしれない」と警戒しているのかもしれないが、そうしたことではなく、まずは病気の状態や、今後の対応についてどうすべきか、この面談では相談の上、決定していきたいと考えている。
・産業医としては、上司、人事、主治医と連携をとり、働きやすい環境や就業条件などについて検討していきたいと考えている。

…といったことを当該社員に伝え、体調把握や「居眠り」の原因を突き止めること、就業制限などを含めた業務の見直しといった目的があり、面談をしていると説明し、納得してもらいました。

産業医をやっていますと、ついつい「面談の目的」を自分では分かっていても、社員に伝えることをしなかったりします。ですが、そのような状況で突然面談が始まりますと、「これからどうなるんだろう…」と社員は不安になり、警戒する結果となってしまう可能性があります。

安心感を与える上では、産業医としての立ち位置(決して人事側の代理人としてではなく、あくまでも中立的な立場)、面談の目的(懲罰を与えるような「裁判」ではなく、あくまでも病気や就業に関する相談の場)を伝えることがやはり大事だな、と思った次第です。

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