医師偏在は強制性をともなう施策で改善すべきか?

宮崎日日新聞に諸塚村の地域医療を支える諸塚診療所の黒木重三郎先生のお話が掲載されておりました。御歳86歳の先生を含めた常勤医2人、宮崎大や村外病院からの非常勤医、救急や入院患者の受け入れ体制をなんとか維持されているとのこと。

黒木先生は、「地域医療は熱意のある医者じゃないと務まらない。そういう医師の養成、確保を国が政策的に位置付けないと、へき地の状況はいつまでたっても同じ」とおっしゃっておられ、江藤事務長も「すべての医師が2~3年、地域医療を経験するような実効性を持ったシステムを構築すべきだ。ある程度の強制力を持った仕組みをつくらないと医師の偏在は解消されない」とコメントを寄せています。

地域医療を専門医の受験資格に取り込む、初期研修の一環として地域医療を体験させる、といったことが考えられてもいるようですが、私としてはこの強制性をともなう施策でなんとかしようという方針には反対です。

そもそも、そうした経験を「いやいやながら」しても、医師は根付きません。診療についても、そうした医師の姿勢は表れると思いますので、患者さんにとっても不幸な結果を招く可能性もあると思います。

それならば、いっそのこと自治医科大学のような「地域医療を行いたい」と志願してくる学生を採用して養成していく方がよろしいのではないか、と思います。義務年限が終わって、地域を離れるとしても、その義務年限自体が長く、よほどの覚悟がないと入学してこないのではないでしょうか。

医師となった後の段階で「地域医療を」と言っても、「そもそもそんなことを目指して医師になったわけではない」と言われてしまったら終わりです。それならば、地域医療に参画して支えていきたいと希望する学生を養成していくべきではないか、と私としては思っています。

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