「臨床は向いていない」と分かっていた私が、それでも産業医への転職をなかなかできずにいた理由【医師の転職】

よほどの出来事があり、「こんなところ辞めてやる!」ということでしたら、すんなり辞めることはできるとは思いますが、「転職しようかな…どうしようかな…」と悩んでいる状態ですと、なかなか一歩踏み出すということは難しいです。

私の場合、「臨床、向いてない」ということは分かりきってはいたのですが、それでも結局退職するまで1年近くかかりました。

結局、医長から「君は臨床に向いてないね」と言われたことがダメ押しとなって辞めたわけですが、それでも「じゃあ、辞めてやる!」とはなりませんでした。

若手医師特有の悩み

なぜ辞めたり、転職をすることができないのかと言えば、それはやはり「不安」ということであったと思います。その大きな不安の原因の一つが、「臨床経験もさほどなく、専門医資格もない」ということです。

おそらく、専門医資格をとっていたら、もっとすんなりと辞めていたと思いますが、まだまだ臨床経験を積んでいかなければならないという段階であり、さらには産業医への転職ということだと、キャリア的に「リセット」することになると思っていました。

特に若手だと、経験やキャリア不足というところが大きな要因となって転職へ踏み出せないのではないかと思います。

転職未経験の悩み

あとは、そもそも「転職が初めてで、どんなものか、転職してどうなるのかも分からない」ということがあります。その不安はやはりとても大きかったと思います。

そこに、医長から「ここを辞めたらろくな医者にならないぞ。転げ落ちていくだけだな」なんて言われてしまってますし、不安や恐怖は倍増していました。

よく分からないこと、というのはやはり不安なものです。それでも、現状に大きな不満を抱いて、体調に異変をきたすほどストレスを抱えていました。だからこそ「どうしようかな…でもなぁ…」という、全く前進せずにその場をぐるぐると回るかのような思考に陥っていました。

一つの処方箋

今、振り返ってみますと、その1年は遠回りではなく「臨床を1年おまけで経験することができた」という貴重な時間だったとも思いますが、自分としては精神的にかなり参ってしまい、ギリギリな状態だったと思います。

あの時、どうすればよかったかと考えますと、やはり転職についてもっと情報を集めておけばよかったと思います。私としては、切羽詰まってリクルートドクターズキャリア[PR]に登録して、突然の電話に驚きつつも話ができたことが重要な転機になったと思います。そこで求人だけではなく、様々なことを相談し、転職について知ることができたことはとても大きかったです。

それだけなく、やはり誰かに相談してみる、というのは一歩前に進むためにも大事なことだと思います。誰かに話すだけでも、「あ、自分はこんなことを思っていたんだ」と再認識する機会になります。

もし、現在悩んでぐるぐると同じところを回っているかのような状態でしたら、キャリエージェントに「ひとまず相談してみる」というのはやってみても良いのではないかと思います。

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