専攻医などの若手医師が「臨床医に自分は向いてない」と思うのははたして本当なのか?

私自身、後期研修医(専攻医)の時に「自分は臨床医に向いていない」と思っていましたし、実際に医長から「君は臨床医に向いていないね」と言われました。結果、退職して臨床医ではなく産業医になっています。

実際のところ、産業医が性に合っているので結果オーライという部分はありますが、産業医になった今、若手が「自分はこの仕事に合っていないのではないか」と思い込んでしまうのは「それは早計だよ」ということがあったりするというのを、目の当たりにしています。

それで「臨床医はもうやめた!」と思ってしまうのは非常にもったいないことだと思いますので、その点について今回は書いてみたいと思います。

社会人経験の短さゆえ

これは私自身も当てはまることですが、いわゆる「世間擦れ」していないことが原因でストレスを溜めている可能性もあると思います。

部活もろくにせず上下関係に慣れておらず、接客業のようなバイト経験もない…ということになりますと、いわゆる「世間の常識」のようなところに触れられず、その結果、上手く環境に適応できないということもあると思います。

上司やコメディカル、他科のドクターと上手く付き合っていく、そういったことが社会人として未成熟ですと、なかなか上手くできないということもあると思います。

ただ、当然ながらこれは臨床医に向いているか否かという問題とは異なるわけで、年齢を重ね、社会人経験を積むことで改善することもあると思います。実際、私も徐々にですが慣れてきました。

業務負荷や周囲のフォローの少なさ

働いていてストレスを溜めやすいのは、業務負荷が重すぎることとともに、特に上司などのフォローが少ないことも影響しています。

そもそも上司も忙しくて思うように部下のフォローができていないということもありますが、この2つが重なってしまうと「もう無理…」と辛く感じることは多いと思います。

これもまた、環境に依存することですので、もしかしたら業務負荷がもう少し軽く(ドクターの人数によるところは大きいと思います)、上司のフォローが得られやすい環境でしたら、今の辛さは軽減されるかもしれません。

単に人間関係の問題も

単に上司と反りが合わないということもあったりします。やはり仕事の進め方であったり、考え方の違いでストレスを感じるということもあったりします。

もちろん、ある程度は合わせることができるかもしれませんが、大きく考え方が異なる上司ですと、やはり長くはもたないということもあると思います。

ただ、これも転職をするといったことで人間関係、環境が変われば解決される可能性があると思います。だからこそ、「臨床医に向いているか否か」といった問題と、人間関係の問題を混同してしまうのは非常にもったいないと思います。

メンタル不調の可能性

私自身も不眠症状や抑うつ症状に悩んだりした時期もあり、その頃のことを考えると、どうも「飛躍した考え」をしがちだったな、と思います。実際は人間関係や環境の問題もあるのに、「自分が臨床医に向いていないせいだ」と考えてしまっている可能性もあると思います。

そうした場合、しっかりと休養をとったり、あるいは治療を受けることで考え方も変わるということもあると思います。実際のところ、私も退職してしばらくしてようやく今後のことをじっくり考えることもできて、産業医に転職するようにじっくりと考えられるようになったと思います。

また、さらに言えば、私の場合、ある程度の期間、休養していたらまた別の結論を出せたかな、とも思います。

それでも…ということもあったりします

上記のようなことを考えても、結局のところ私のように「臨床医以外」、つまりは産業医になるといった選択をすることで、幸せになれたりすることもあると思います。

その点、やはり「やってみないと分からない」ということもあると思います。もし「臨床医は向いていない。産業医をやってみたい」ということでしたら、実際にやってみて水が合う可能性もあると思います。

だからこそですが、もしご興味がありましたら、リクルートドクターズキャリア[PR]エムスリーキャリアなどに登録してみて、求人を紹介してもらうのもまた、長い人生、良いことなのではないか、と思ったりもする次第です。

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