「産業医になろうかと思っているんですが」という方から質問や相談を受けることもありますが、その中で「産業医になったら、臨床医としての腕が鈍ってしまうのではと心配です」とおっしゃられるドクターがいます。
たしかに、産業医として仕事をしておりますと、少なくとも常勤の勤務医の方々よりは「臨床から離れる」ことになり、そのような心配をお持ちになるのは分かります。
そこで今回の記事では、「臨床医としての腕が鈍る」と心配されるドクターの皆さんにお伝えしたい3つのポイントについて書きたいと思います。
あなたの求める「産業医と臨床医の割合」とは?
私は週3日産業医として勤務し、1日は外来の非常勤バイトで働いています。「産業医だけ」でもいいと思ってはいますが、その一方で
・産業医をクビになるリスクもあり、完全に臨床から距離を置いてしまうのも不安
・バイト代で年収アップを図りたい。
といった理由で週の内、1日だけは外来バイトを続けています。言うなれば、「本業は産業医で、臨床医はあくまでもバイト」という考えで勤務しているように思います。
「臨床医としての腕が鈍る」と心配されている方の心境を考えると、
1) 軸足は臨床医にあり、臨床医の傍らで産業医もやりたい。
もしくは
2) いずれは産業医ではなく、臨床医に戻ると考えている。
といったことなのではないでしょうか。1)の場合ですと、これは非常勤の産業医として「週1~月1のバイト感覚で産業医をやる」といったことも可能ですし、むしろそのような働き方の方が向いているのかな、と思います。
2)の場合ですと、これは「3年以内に産業医としての適性を考え、合うようだったら産業医を続ける、合わなかったら臨床に戻る」といったことをお考えいただく方がよろしいのではないでしょうか。
全員が「専業で産業医をやる」必要もないでしょうし、全員が「産業医を続ける」選択をする必要もないと思います。自分に合った「産業医と臨床医の割合」をまずは考えてみて、それに合った働き方を選んでみることをおすすめしたいと思います。
手技の腕、知識のupdateの比重は?
非常勤外来のバイトでは、「動静脈採血、ルート確保、気胸に対するドレーン挿入」などの手技は行っていません。最近、動脈採血を久しぶりに行うことになり、若干緊張している自分がいました。
また、外来では抗がん剤治療はしていません。ですので、どんどんと新薬が出てきている中、それらに触れてきていないので、知識のアップデートが追いつかない自分にも気づいています。
ですが、そうした状況でも非常勤外来のバイトはなんとかこなせていますので、私としては「それでもいいかな」と思っていますが、中には「それじゃあ困る」と思われる方もおられると思います。
この点は、「手技の腕、最新知識にどの程度の比重をお持ちか」で変わってくるでしょうし、「それらも落としたくない」ということでしたら、臨床の現場に立つ時間を増やすよりほかはないかな、と思います。
働き方をカスタマイズすることもできます
常勤の勤務医ですと、「週4日勤務+外勤1日」もしくは「週5日勤務」といったことになるのではないでしょうか。やはり、ある程度の「固定された働き方」が必要になるとは思います。
その一方で、「週3日産業医として勤務、残り2日かは臨床のバイト」といったこともできます。常勤であることを問わなければ、よりフレキシブルな働き方ができると思います。
上記のように、「臨床医としての腕が鈍る」といった場合、「産業医と臨床医の割合」がポイントとなってはいると思いますので、どのようなところを妥協点とするか、まずは考えてみてはいかがでしょうか。
以上です。
どのような働き方をしたいのか、その希望条件に沿った求人というのはなかなか一人では見つけるのは困難です。そこでまずは、リクルートドクターズキャリア[PR]や、エムスリーキャリアといった転職エージェントに相談してみて、どのような求人があるのか問い合わせてみてはいかがでしょうか。