入職する際には、勤務条件の確認をして、その上で契約書を取り交わすというのが行われると思われますが、勤務を開始して「やむなく勤務条件の変更を申し入れる」ということもあるかもしれません。
やむを得ず申し入れを行い、それを臨床医であれば病院側、あるいは産業医であれば企業側が認めれば問題ないわけですが、その申し入れがなかなか認められないというケースもあったりするわけです。
その申し入れをする際、考慮すべきポイントについて今回は書いてみたいと思います。
申し入れを行うタイミング
まず、申し入れを行うタイミングについてですが、入職して間もなくですと、よほどの貢献度がない限り「入職しといて、いきなり文句かよ…」と思われること必至です。
当然のことながら、雇用した側からすれば、「双方で確認した条件で働いてくれるわけだよね」となるわけで、それをいきなり反故にすれば反発されるのも仕方ないかな、と思われます。
ですので、あまりに入職後早い段階での申し入れというのは、あまり望ましくないのかなと思われます。どうしても避けられない家族の問題などで、ということ以外であれば、3ヶ月程度は少なくとも様子見をしておくべきかなと思われます。
「理由」を明確にして、「代償」を用意
申し入れを行う際、「これこれこういう理由で、その条件変更が必要なんです」という明確な理由が必要であると思われます。やはり、病院側あるいは会社側を説得する上で、そのような理由付けは必ず必要です。
また、相手側にデメリットのみを飲ませるというだけでは、交渉不成立に終わる可能性も高いと思われます。そこで、「この条件を飲んでもらえれば、こちらもこうしたことを行う」という代償も用意しておく必要があるかな、と思われます。
たとえば、当直やオンコールの回数を減らしてもらうことを交渉するとして、「業務時間内の救急対応を率先して行う」「入院担当ファーストコール担当回数を増やす」といったことを条件として飲むこともセットで提案すると、受け入れはされやすいのかな、と思われます。
不満は一気に爆発させるのではなく、報・連・相で
不満を感じているからこそ、「申し入れを行いたい」と思ってらっしゃるのだと思われますが、それを一気に爆発させてしまうと、相手側としても「いや、そんなこと初耳だし…いきなり怒られても…」と困ってしまいます。
ですので、感じている不満は上司などへのコミュニケーションの一環として、「報告・連絡・相談」という形で行うべきかな、と思います。
実際、私も過去に産業医を行っていた会社の子会社で、安全衛生委員会・巡視を行っていましたが、それが結構な遠方で大変な思いをしていました。そのことを折に触れて「月1回とは言え、あまりに遠方で勤務時間中に移動時間がかなり割かれてしまいます。そのため、本社での面談時間が減ってしまって困ってしまいます」と相談したところ、結果としてその会社は嘱託産業医を雇っていただくことになりました。
一気に不満を爆発させるのではなく、交渉手段の一つとして、「報告・連絡・相談」を細かに行っていく、というのは有効だと思われます。
以上です。
勤務条件の申し入れを行ったところで、必ずしもそれが全て受け入れられるかというと、そうではないと思われます。結果として、退職せざるを得ない、ということになる可能性もあると思われます。
そのような場合は、改めて勤務条件を整理し、改めてその条件を受け入れてくれる先を探してリスタートすればいいということなのだと思います。ですので、もし現在、そのような転職活動を行っておられるということでしたら、まずはリクルートドクターズキャリア[PR]や、エムスリーキャリアにご登録の上、転職エージェントにご相談いただいてはいかがでしょうか。