うつ病などのメンタル疾患を抱える社員が上司に病状報告する上で気をつけたいポイント【産業医マニュアル】

「部下をどう扱ったらいいか分からない…」という相談を管理職から受けました。その部下はうつ病で休職したことがあり、復職してからも休むことがあって「対応に困ってしまっている」とのことでした。

よくよく話を聞いたところ、部下から病状報告を受け、「不眠の症状が…」「頭痛が…」「気分が沈んでしまい…」などといった症状を聞くたびに「で、どう対応したら…」と悩んでおられるとのこと。

「トリセツ(取り扱い説明書)が欲しい…」とおっしゃってましたが、同じような悩みを抱えた上司は多いんだろうなぁ、と思われます。

うつ病などのメンタル疾患を抱える社員側の立場、上司の立場の両方に立ってみてわかったことですが、こうしたトラブルを少なくする上ではやはりコミュニケーションが重要なのではないか、と思った次第です。

今回は、そうした点から、「うつ病などのメンタル疾患を抱える社員が上司に病状報告する上で気をつけたいポイント」について書いてみたいと思います。

上司のメンタル疾患に対する知識について

中には、「自分もメンタルやっちゃって」「家族がうつ病で…」といったことで、メンタル疾患に対する知識をある程度お持ちの方もおられます。ですが、大半の上司は「メンタル疾患についてほとんど何も知らない」と考えておいた方がいいと思います。

いわば「未知の病」と対峙することになり、上司も動揺していたり戸惑ったりしているはずではないか、と思われます。平静を装っていたとしても、「どうすりゃいいんだよ…」と内心は思っている可能性もあるわけです。

まずは報告を行う上でも、相手の動揺や戸惑いなどについて配慮する必要があるというのは念頭においておいた方がよろしいのではないでしょうか。

主治医・産業医への報告との違い

主治医や産業医への病状報告ですと、「不眠症状がこうで…」「不安感やイライラが…」「内服薬の効果が…」などと、一つ一つの症状についてどうなったのか、といったことを説明することもあるかもしれません。

医療従事者にとってはありがたい情報ですが、一方で上司にとってすれば、失礼を承知で言えば「ありがた迷惑」になっている可能性があります。

一つ一つの症状などを聞いて、総合的に判断するというのは、やはり医師ではないとなかなか難しいのではないでしょうか。また、上司の興味からすると、「で、良くなったの?悪くなったの?」「働けるの?」「どの程度、仕事を振っていいの?」ということであり、個々の症状の変化自体にはさほど興味・関心はないのかな、と思われます。

「何を上司に説明すればいいのか」という問題

上記の2点を踏まえますと、では具体的に「何を上司に説明すればいいのか」ということですが、簡単に言ってしまえば、

・病状は「総合的に」良くなった?現状維持?悪くなった?(個々の症状説明ではなく、あくまでも総合的な判断で)

・現在、フルタイムで働ける状態なの?残業もできる?(この点は主治医や産業医に要確認)

・業務をする上で、病状悪化の要因となりそうなことの情報共有(上司が業務を振る上で重要な情報となります)

・病状悪化が見られて欠勤した時などは、なぜ病状悪化したのか、同様のことが起こらないようにするためにどのような点に注意したらいいのか。(原因と対策をセットで提示)

といったことの説明をしておけば、上司も理解しやすく、コミュニケーションも苦ではないのではないでしょうか。

基本的には、上司にとって「病気自体」がメインではなく、「それは仕事をする上でどのような支障が出て、どのような対応をすればいいのか」がメインとなっていると認識しておいた方がいいと思います。

以上です。
上司とメンタル疾患などの持病について話し合いをする上では、まずあらかじめ上記のようなことをメモ書きでも結構ですのでまとめておいて、それに沿って話をすれば要点を伝えられると思います。お試しいただいてはいかがでしょうか。

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