私も後期研修中に産業医となりましたが、その臨床医時代に先輩ドクターから「産業医資格をとっておくといいよ」とアドバイスされたことが産業医になる入り口となっています。
この先輩ドクターは、いわば「産業医」という道を進むという選択を、臨床医を続けられなくなった場合のある種「保険」として持っておくことをアドバイスしてくれたものだと思います。
臨床経験は本当に短く、お恥ずかしい限りですが、癌治療や当時はある程度先進的な医療に触れられたという点では、とても貴重であったと思います。そして何より、「主治医の苦労」も知っているからこそ、診断書の行間から滲み出てくる思いなども読み取れたり、治療の意図などもある程度は理解できていると思います。
その点、「いきなり初期研修修了後に産業医へ」という道を選んでいなかったことは幸いだったと思います。一方、そうしていたら途中で「臨床医に戻ろう」と後悔していたかもしれないですし、そう思ってもなかなか戻りづらかったのではないだとうか、とも思います。
臨床医の視点、産業医の視点の両方が、産業医を続けていく上で私は必要であると思います。特に、主治医の協力が不可欠という点において、主治医へのリスペクト、配慮といった部分は必要ですし、それは産業医的な視点だけではなかなか得がたい部分で、やはり経験する必要があると思います。
この点、繰り返しになってしまいますが、短いながらも臨床経験があるということは私にとってとてもプラスになっていると思います。一方、現在私は産業医という働き方にとても満足しておりますので、臨床医をしながら「産業医へ」という先生方の転職もぜひ応援したいと思います。
ただ、「未経験」で産業医になるというのはなかなかハードルが高いものがあります。その点、私が臨床医→産業医になった際にお世話になった「リクルートドクターズキャリア[PR]」や、その後の転職で並行してお世話になった「エムスリーキャリア」といった人材紹介会社の転職エージェントにご相談いただくことをオススメしたいと思います。