勤務医から常勤産業医への転職を考えた際、なかなか上手くいかないということが結構あります。「何社も応募して、書類選考は通っても面接で落とされる」「最終選考には残っても、別の候補者が採用される」ということが起こり得ます。
臨床医で「病院への転職」とは、やはり産業医の転職はやや趣が異なります。では、なぜ異なるのでしょうか。その理由と、産業医転職を成功させるための方法について今回は書いてみたいと思います。
売り手市場の臨床医、買い手市場の産業医
常勤産業医の場合、基本的には社員1,000人以上の大企業が募集しており、求人数も少ないわけです。さらに「一人だけの産業医の座」を巡って応募者が争うことになり、倍率は高くなります。
必然的に産業医求人の場合、買い手市場ということになります。ということは、やはり元々、産業医になるのは臨床医の場合よりも困難ということは念頭に置いておきましょう。ただ、都内では求人数は地方よりもまだ多めであり、できれば首都圏での勤務を検討するとよろしいかと思われます。
未経験者がぶつかる「一社目の壁」
産業医の場合、経験のある/なしが大きな壁となることがあります。未経験ですと、なかなか決まらないということがあります。
やはり企業側も「産業医未経験のドクターより、経験者の方がいい」と思うわけであり、「転職したくても、なかなか採用してもらえない」ということは起こり得ます。
ですが、企業によっては「他に産業医がいて指導してもらえるから」と採用をしてもらえるところもあります。そうした企業へ優先的に応募していく、ということは必要だと思います。
また、「嘱託産業医」の経験がある場合、「経験あり」とみなしてもらえるというケースもあります。「いきなり常勤」での採用がなかなかしてもらえないようでしたら、まずは嘱託で経験を積むというのもいい手であると思いますし、実際、そのようなことをやっておられた元麻酔科医のドクターもいました。
医師バイトドットコム[PR]などの求人紹介会社で、非常勤バイトで産業医の経験を積んでみるのもよろしいのではないでしょうか。
希望条件の見直し
求人で、ついつい高望みしている場合、なかなか決まらないということがあります。その点、少し譲歩してみる、ということも転職では必要です。
上記のように、通勤可能エリアを広げてみたり(もちろん、通勤時間は長くなってしまいますが…)、希望年収を下げてみたり、希望の勤務日数が週4日のところ5日もOKにしてみたり…などなど。
今後、産業医としての経験を積んでいけば、また転職した際に好条件を狙えばいいわけで、まずは「経験を積む」ことを重視して希望条件を譲歩する、ということも場合によっては必要かと思われます。
以上です。
やはりご自身で産業医の転職先を探すのはなかなか厳しいものがあります。特に臨床を続けながら転職活動というのは、私も経験がありますが、ただでさえ大変です。
その点、リクルートドクターズキャリアといった人材紹介会社に相談しておきますと、タイミングを逃さずに求人情報を教えてくれますし、転職活動自体を無料でサポートしてくれます。実際、私も常勤産業医への転職ができたのは、こちらの会社の求人紹介があったからです。
もし転職活動に行き詰まっていたり、求人情報がなかなか集まらないようでしたら、まずはご相談されてはいかがでしょうか。