初期研修を終えてすぐに「常勤産業医」になれる求人はあるのか?そのデメリットとは

私自身、初期研修修了後に後期研修医となり、その最中にドロップアウトして常勤産業医となっているわけですが、それでも周囲からは「まだ早いんじゃないの?」とよく言われていました。

親からも、「もうちょっと臨床で経験を積んでから産業医になってみるのもいいんじゃないの?」と言われていたわけですが、「いや、もう臨床は続けるの無理なのよ…」と言いつつ産業医に転職しました。

では、それよりも早く初期研修を終えてすぐに「産業医」になることはできるのかどうか、という話ですが、実はこれ、私がいただく中でも多い部類の質問になります。

求人は果たしてあるのか?

結論から言ってしまえば、「ある」ということになります。採用する産業医の基準というのは、企業によって異なるわけですが、「産業医の経験必須」という企業もあれば、「産業医の経験者歓迎」というもの、はたまた「産業医未経験でも可」というところもあります。

さらに、「産業医未経験でも可」のところには、臨床経験も不問というところもあり、「産業医になる熱意さえあれば可(当然、認定産業医などの産業医になるための要件は必要ですが)」という企業もあります。

ですので、そうした求人に応募すればOK、ということになります。ただ、逆に言えば「医師経験3年以上」と限定しているところもあり、そうしたところへの応募は厳しいということです。

初期研修→産業医のデメリット

では、初期研修を修了してすぐに産業医になった場合、どんなデメリットがあるか、ということですが、これは「潰しが効かない」ということがあります。

専属産業医として入職したり、あるいは「嘱託産業医として他社に勤務することはNG」という企業であったりしますと、嘱託産業医のバイトはダメということになります。そうなりますと、基本、「バイトするなら臨床のバイト」というわけですが、そこで臨床系のバイトを探すとなると、かなり選択肢が狭まってくるという可能性があります。

ある程度、専攻医として働いていて「一通り、病棟管理や外来は担当できる」という人と、「初期研修を終えてすぐに産業医」という人ですと、やはり選択肢の幅は違うかな、と思われます。

また、ある程度、臨床医として働いていて、自分で紹介状や診断書・意見書などを書いていた経験があると、産業医として働いている時に意見書などを読んで「ああ、こういう状態で、こういう意図があるんだな」ということが汲み取れるようになると思います。

あとはがん治療にある程度携わっていますと、「この社員さんはこの次、こういう治療に入っていくのかな」「この治療中っていうことは、好中球減ってないかな。感染に注意だな」「大分痩せたな。体力的に大丈夫かな?」なんてことがなんとなく分かるわけで、こうした臨床の経験値というのは、やはり専攻医などを経由していた方がいいメリットの一つのように思います。

ただ、「いつ産業医になるか」というのは人それぞれ、どの時点でなるかによってもメリット・デメリットはそれぞれあるわけなので、個人の選択によるところだな、と私自身は思っております。

もし4月から産業医として働きたい、ということでしたら、ぜひ今の内から転職活動を行っていただく方がよろしいかと思います。まずはリクルートドクターズキャリア[PR]などの求人紹介会社に相談をして求人紹介を受けてみてはいかがでしょうか。

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