私は関東の片田舎にある地元の大学を卒業し、近所の病院で初期研修を終えて、そのままその病院で後期研修医となりました。
後期研修医時代を振り返ると、さほどオーバーワークというわけでもない業務量でした。当直やオンコールもそれぞれ月2回程度、受け持ちの入院患者は8~10人程度、外来も週2コマ程度だったと記憶しています。
ですが、次々と先輩が退職していき、徐々に業務量や責任が増えていくことに耐えきれず、さらには医長との関係性悪化もあって「辞めたいなぁ」と思うようになっていきました。「こんな働き方、人生が何十年と続くのか…」と絶望的な気持ちになっていきました。
勤務医にアンマッチな私
現在、産業医という立場で社員さんと面談することになっていますが、やはり私は勤務医という仕事に「アンマッチ」だったように思います。同期がすぐに職場に適応し、バリバリと仕事をしていくのを尻目に、私自身は職場に上手く溶け込めず、それどころかむしろ評判はかなり悪かったです。
今、過去の自分に会ったならば、「もっと上手く立ち振る舞えたろ」「医長への報告・連絡・相談は常識だろ」「コミュニケーションの取り方が根本的に間違ってるよ」などと伝えたいことは山程あります。
いかんせん、引きこもりに近い学生時代を過ごしてしまったこともあり、なんとも未成熟な私は勤務医として働くには「不適合」状態にあったわけです。
「勤務医以外」の一つの選択肢
おそらく、産業医として働いて、あるいは3回の転職を経てある程度は社会人としてのあり方、立ち振る舞い方、コミュニケーションの取り方などを身につけることはできたかな、とは思いますが、それでも勤務医に戻って働くことはできないと思います。
そもそも、後期研修医だった当時、常に模索していたのは「勤務医以外」での働き方です。その一つが産業医であり、たまたま性に合って10年以上、産業医を続けてこれたわけですが、そうでなかった場合、きっとまた「勤務医以外」の道を探してそうした生き方をしていたのではないか、と思うわけです。

「向いていない」を認めるということ
4月を目前にしており、初期研修を終えてこれから専攻医、という方も多くいらっしゃるでしょう。後期研修医をドロップアウトした私が今、あらためて思うのは、「医師免許を取得することはできても、勤務医/臨床医として働くことに向いていない人もいる」ということです。
かつての私のように、そのことに悩み、絶望してしまう人もいるでしょう。認めたくなくて、必死にネガティブな気持ちを必死で押し殺そうとしている人もいるでしょう。
ですが、いっそのこと「認めてしまう」とラクになることもありますよ。その上で、別の道を探していくのもまた楽しいものです。また、一昔前に比べて「別の道」「取り得る選択肢」も増えて、さらにはその情報にアクセスすることも容易になっているように思います。
「勤務医/臨床医以外の道」として、産業医になることもまた一つの選択肢です。もちろん、全員が全員、産業医に向いているとは決して言えませんが、中には私のように10年以上、続けられる仕事になる人もいるかもしれません。
もしご興味がありましたら、リクルートドクターズキャリア[PR]などの転職エージェントに相談していただくのもよろしいかもしれません。もちろん、産業医以外の仕事も紹介してくれますので、今後のキャリアを考える上で悩んでいるということでしたら、まずはご相談からしてみてはいかがでしょうか。

