Medpeerの「産ラボチャンネル」にて、「復帰プログラムで余計にメンタル不調に陥る人も…どうすれば上手くいく?」という相談に対して中央大学ビジネススクール 真野俊樹教授が回答しておられました。
回答の要旨としては、
・数ヶ月の単位で休職していた場合、体力が落ちていることに配慮を行う必要がある。
・体力を戻すために、復帰前に復帰のための「外出をする」「通勤を実際に行ってみる」といった訓練を実施する。
・体力面でのサポートはわりと容易であるが、メンタル面でのフォローはなかなか難しい。
ということが挙げられていました。
復職時期に問題はないか?
復職を行って早々に再休職してしまう、体調を繰り返し崩してしまうといった場合、やはり復職時期の見極めに問題があった可能性も考えるべきであると思います。
実際、早々に体調不良になった方に話を聞いてみると、
・実は休職していることで焦ってしまい、早く戻ることばかりを考えていました。
・家族も家にいるため、自宅でゆっくり休職をするということがしづらくて…
・世間体もあって、長く休職しているのはちょっと…
とおっしゃる社員さんもおられます。そのため、復職時期が尚早だった可能性もあるのかな、と思われます。
たしかに、自宅に妻子がいるのに、「ゆっくり休んで」と言われてもそうも行かないという気持ちも分かります…
ストレス要因の見極めも重要
復職は「基本的に元部署・元職場」というような原則はあると思いますが、それでも
・根本的に反りが合わない上司の下で働く。
・実力に比して、過大なパフォーマンスを求められる部署やポジションで働く。
・本人に発達障害の傾向があり、ある程度の合理的な配慮が必要と考えられる。
なんてことがあったりしますと、やはり再休職に至ってしまうケースはあると思います。どのようなストレス要因があり、休職に至ったのかについてはしっかりと把握し、復職前に人事側との共有・相談は必要かなと思われます。
このような問題が解決されないまま復職ということになりますと、それは再休職の可能性は高くなってしまうのではないでしょうか。
復帰プログラム通りに行かないことも多い
人事側と復帰について「こういう流れでやっていく」「現在、この社員はこの復帰段階にいる」といった共通認識を持つ意味でも、復帰プログラムはあった方がいいとは思います。
ですが、全ての社員が「復帰プログラム通りにやれば全員上手く復職できる」というわけではないと思います。だからこそ、
・定期的に産業医面談を実施し、体調や仕事ぶりはどういった具合かを把握する。
・病状の悪化傾向があれば、その原因を把握し、現場や人事側と共有する、場合によっては就業制限などで介入を行う。
・直属の上司、人事とも連絡をとり、勤怠の乱れやパフォーマンス低下がないかどうかなどの情報を共有してもらう。必要があれば産業医面談を適宜実施して確認していく。
といったことが必要であると考えます。ですので、「復帰プログラム通りに行かないことも」という前提に立つことも大切なことではないでしょうか。