私も初期研修医を2年間経験したわけですが、毎日のように「研修医やめたい…」と思っていました。ただ、比較的ゆるやかなプログラムであったことや、お世話になった先生の存在もあり、なんとか初期研修は修了することができました。
さて、この「初期研修医」の時期ですが、産業医になって今振り返ってみると、「それは当然、やめたいと思うよな」と改めて思います。
その理由としては…
2~3ヶ月ごとに入れ替わる環境
私の場合、循環器内科→呼吸器内科→総合診療科→外科…と、2~3ヶ月ごとに科を移って研修を行っていました。科を移るたびに新たな人間関係、業務内容を覚えることになっていたわけで、それは多大なるストレスだったと思います。
そもそも、人によって感じ方は異なりますが、「変化=ストレス」ということであり、ある程度の知識・経験を得た今であっても、同じプログラムで研修を受けるとなれば、それはストレスを抱えることになると思います。
そのため、このめまぐるしい環境・人間関係の変化は、ストレスを抱える原因として大きかったと思います。
裁量権の乏しさ
初期研修医ですと、「自分で決定していい部分が乏しい=裁量権が乏しい」状態です。ほぼ、なんでもかんでも上級医・指導医に報告・連絡・相談を行い、その上で仕事をしていかなければなりません。
こうした裁量権の乏しい状態は、それ自体ストレスとなりえます。なおかつ、自ら仕事を行うということよりは、デューティーとして与えられた仕事を淡々と続けることが多いこともストレスの要因となると思います。
社会人としての経験の乏しさ
卒後かなりの年数が経ってきますと、良くも悪くも「人慣れ」してきて、業務で様々な人に関わることに、ストレスを感じにくくなってくると思います。この点が、卒後しばらく経ったドクターと、初期研修医の大きな違いではないでしょうか。
ご年配の患者さんやご家族、上級医や看護師…本当に様々な年代の方を業務上では相手にします。この点、「人慣れ」していない初期研修医にとっては非常に辛い状況ではないでしょうか。
以上です。
一つ言えることは、初期研修医の置かれている環境は誰にとってもストレスフルとなりうる状況だと思われます。ただ、期間は決まっています。2年という期間さえ乗り切ってしまえば、少なくとも初期研修医という状況は脱せます。
できれば耐えて欲しいと思いますが、不眠症状や抑うつ症状などが現れているようでしたら、すみやかに研修プログラムの担当医師、メンターなどにご相談しましょう。時には休むという選択も必要なこともあります。