企業が解雇ではなく「退職勧奨」を選ぶ理由【産業医マニュアル】

企業は、問題のある社員であっても、解雇することはできるだけ回避します。というのも、それだけ従業員の権利が法的に手厚く守られているからです。また、解雇して際の裁判沙汰を避けたい、という理由もあると思われます。

最近、たびたび休職し、なおかつ同僚とトラブルの絶えない社員がおり、人事側は「解雇する」と息巻いている事案がありました。

顧問弁護士と相談していたとのことですが、結局のところ「解雇するのは困難」と判断され、「退職勧奨」をすることになりました。その社員さんは度重なる長期休職で生活費に困窮し、退職金をもらう方を選びました。

当然、法的に逸脱していたりすれば、即解雇するでしょうが、「企業にとって利益とならない」「ほかの同僚と上手くやっていけない」というだけでは解雇理由にしづらいという事情があるようです。

このケースでは「解雇も辞さない」という人事側の考えでしたが、普段でしたら「なるべく穏便に…」としたいのが、企業側の考えでしょうね。その点、この社員さんのケースでは、「経済的に行き詰まっていた」「自分への扱いが長年納得がいかず、話を聞いてもらいたい」という希望がありましたので、この2点を人事側が叶えることで退職していかれたという流れでした。

私も関わりのあった社員さんでしたので、退職されたことは残念ではありましたが、企業である以上、こうした厳しい結論を出さざるを得ないということだったのでしょう。

産業医をしておりますと、こうした様々な人間模様を垣間見ることがあります。もし産業医という仕事にご興味がありましたら、まずは私も産業医としての転職でお世話になりました、「リクルートドクターズキャリア」や「エムスリーキャリア」などのキャリアエージェントにご相談いただいてはいかがでしょうか。

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