抗癌剤治療中の方との面談で「よくよく話しを聞いて」復職を見送ったケース【産業医マニュアル】

大腸癌の術後の方で、抗癌剤治療を開始して間もなくの社員さんが「復職したい」ということで面談にいらっしゃいました。当初は、食思不振や倦怠感はあるものの、「復職はできると思う」とのことで、「まぁまぁ、これなら免疫抑制に気をつけつつ復職できるのかな」と思っておりました。

ですが、よくよく話を聞いてみますと、「食事は、朝・昼は食べる気がせず、夜だけ。しかも量は少ない」「倦怠感で、ほぼ自宅から出ていない」とのこと。

やはり、「食欲低下」「倦怠感」という言葉だけだとなかなか実態が想像できず、「何をどれだけ食べているのか」「倦怠感はどの程度なのか(ほぼベッドにいる、自宅で安静にしているなど)」といったことを具体的に聞いていかないといけないな、と改めて思った次第です。

次第に症状は落ち着いてきているとのことで、再面談の予定をセッティングし、改めてそこで復職について相談することにしました。あまり具体的に話を聞かずに復職OKとしていたらまずかったかな、と思った面談でした。

なお、抗癌剤治療で言えば、やはりこの時期「免疫力低下で、コロナが怖い」という方もおられます。その点、接客が多い職種だとどういった内容で、どの程度の就業制限が必要なのかといったことを本人・人事側と話し合うことも多いです。

そうした点からも、インフルエンザ・COVID-19の感染拡大が懸念される今年の冬はなかなか抗癌剤治療中で勤務されておられる方にとっては厳しいな、という次第です。

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