1) 重要業務の再検証
企業内での新型コロナウイルス感染リスクを回避する必要性からも、業務の一時中断(自粛・在宅勤務・時間短縮など)を検討せざるを得なくなる。その結果、業務にあたる人的資源は少なくなることから、中断すべき業務、継続すべき重要業務についても、当該業務の細分化の可能性を検証し、「ただちに中止」から「継続」 までの数段階のランク付けを実施し、今後の状況の変化にきめ細かく対応できる準備をしておくことが求められる。
2) 顧客向けの対応と、説明すべき内容の準備・実施
企業は、顧客から安全対策と業務の継続の両方の観点からの問合わせを受けることとなる。かかることを想定し、その対応等が適切に実施できるかホームページの活用を含め広報体制を広報部署、ホームページ管理者らと確認することが重要となる。併せて、今後の業務の中止(延期)の可能性、継続業務の実施の予告等についても検討することが重要である。
3) 社員、取引先等に向けた対応と説明
企業は、社員や顧客等の安全に配慮すると共に、事業を継続するという難しい局面を的確に乗り切るためには、重要業務に携わる社員や労働組合、サプライチェーン等の関連業者と、その確実な実施のために協力関係を適切に構築することが必須である。そのうえで、企業の対応を説明する機会などを設けて信頼関係を維持しておくことが求められる。
4) 産業医との連携
企業は、社員の安全配慮義務を尽くすため、産業医等から医学的な情報提供や意見を求めるなど専門的な支援を仰ぐことが重要である。自社の産業医との情報共有を推進し、産業医に対しては、通常の産業保健活動のほか、当該対策に関する協力体制を構築するように求めることが必要である。
5) 自社の内部統制の確認
企業は、これらの取組みを通じて、経営陣から社員(産業医を含む)までのリスク対応に関する意思の疎通(内部統制)を確認し、不十分な点については修正を実施すること。
6) 企業内新型コロナウイルス対策本部(一例)の設置
時々刻々と返還する事態に対応して的確な意思決定を行うために、新型コロナウイルス対策本部を設置し、判断について適切な権限委譲を行っておくことが望ましい。事業の中断、在宅勤務、時短勤務等の判断権限を与えられた責任者は、同対策本部の構成メンバー(人事労務担当者、危機管理担当者、広報担当者、法務担当者および産業医など)と Web 会議等で情報を確認しつつ早急に判断できるよう対応体制を構築するべきである。
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