会社側、特に人事労務の担当者は、病気や怪我などで休養していた社員さんに「診断書をとってきてください」と指示することもあると思います。それで、社員さんが診断書を書いてきて人事に提出するわけです。
私もその提出された診断書を読んで「うん、うん。なるほど」と思った上で、復職判定面談などに臨むわけです。ですが、そこで驚いたわけですが、人事労務の担当者はその診断書を読んでいるようで読んでいない、理解できていないというのです。
専門用語はチンプンカンプン
足の指を骨折した人がいて、「右第一趾骨折(右足の親指の骨折です)」なんて書かれていたりすることもありますが、これもまた「え?なに?どこを骨折したの」となっていたようです。
今まで「分からないです」という話を聞いていなかったのですが、「何がどうなっているのか、どんな病気や怪我なのか分からない」ということだったようで、「あ、そうか。診断書を出されても分からない」ということもあるのか、と改めて思った次第です。
たしかに、私も門外漢の法律関係や税関係の書類を見せられても「つまり…これは何が書いてあるわけ?」となってしまうように、診断書を「理解していない」ということのようです。
複数の病名を列記されると…
一つ一つの病名なら分かっても、その複数の病名を列記されると、「結局、この人は何で入院してたわけ?」ということも分からない、ということも言われました。
「#急性膵炎 #脂肪肝 #アルコール性肝障害」なんて書かれていますと、「ああ、これは大酒飲みがついに急性膵炎になって入院したんだな。ついでにアルコール性肝障害や脂肪肝なんかも見られたんだな」と思うわけです。
ところが、人事労務の担当者い言わせますと、「それぞれの病気のことはなんとなく分かっても、結局はどういうことなのか分からない」ということのようです。
産業医は通訳の役割もある
こうしたことが今回、改めて分かったわけですが、やはり産業医は会社における「通訳」の存在意義もあるのだと思います。
よく分からない医療用語を、分かりやすく「こんな病気なんですよ。治療はこんな感じでします」と説明したり、「こんなことでこの人は入院して治療したんですよ」「今後の見込みはこうで、復帰時期はこのぐらいかかりそうですよ」なんてことも説明をすることを求められているんだな、と思います。
今後は、診断書についても説明を行ったり、また面談の報告を行う際にはできるだけ専門用語を使わず、噛み砕いて説明することが必要なんだな、と思った次第です。