産業医として面談をしておりますと、病気や怪我で休職されていた方が復職する際、「復職の判定面談」を実施します(休職されていた方を、全例対象とするわけではありませんが)。
その復職判定面談ですが、いきなり本題に入っていきますと、ただでさえ産業医面談に「復職させないつもりなのでは…」と疑心暗鬼になっている方や、緊張しやすい方ですと、なかなかお話をしてくださらない社員さんがおられます。
そのため、まずは自己紹介をした後に「前置き」をするようにしています。その方が警戒心も解け、効率的に話をできると思われます。さて、その「前置き」とは以下のようなものです。
まずは面談の目的について、「この面談では、休職されておられる方を対象に、病気や怪我でどのような経過を辿ってこられたのか、現在の状態はどうなのか、復職にあたって問題はないかといったお話を伺っております。また、復職にあたっては残業禁止など、就業上の制限をかける必要がある方もおられるため、そのような制限が必要かどうか、改めて話し合いの上、検討させていただければと思います」と、一通り説明しています。この説明で、おおよそ「どんなことをするのか」という目的がはっきりすると思われます。
産業医にとっては日常ですが、社員さんにとっては「初めての復職判定面談」ということが多いわけで、「この面談、一体なに?」と思いつつ、ドキドキしながら面談室に来られるわけです。そこで、あらかじめどんな面談なのか、というのはお伝えした方がよろしいかと思われます。
また、その上で復職についての診断書について触れます(事前に診断書を受け取っている場合)。「すでに主治医の先生からの診断書を受け取っており、○○日から復職可能という旨は伺っております」と触れ、「復職可能と診断されていることは知っていますよ」ということに振れるようにしています。
というのも、「復職させるのか?させないのか?」と不安や心配を抱いている社員さんもおり、「主治医の先生はOKを出していますものね」と、念押しすることで、その不安感、心配を少し解消できる効果があると思われます。
こうした前置きの後、話を聞いていくわけですけども、こうした前置きに加え、復職判定にあたっては「根拠を明確に」するように心がけています。
復職可能であればさほど揉めませんが、「休業継続を要する」もしくは「就業制限が必要」ということに関しては、根拠があやふやだと反発されたりする可能性があります。そのため、休業が必要な理由や、就業制限が必要な理由については、「○○だから」という理由づけをハッキリするようにしています。
こうしたことを意識するようになってから、復職判定面談で話が遅々として進まないといった状況や、判定をめぐって延々と粘られたり…と困ってしまうようなことはなくなったように思います。