「臨床医に向いていないからもうやめたい」と思った時に確認してもらいたい5つのチェックポイント

私は自分でも臨床医に向いていないと思いますし、後期研修医時代に医長からも言われておりますので、自他ともに「臨床医に向いていない医師」であると思います。

最近では妻にも言われました。笑

すでに臨床から退いて産業医をしている身として、やめるにしても「確認をしておくべきこと」があると思っています。現在、「臨床医をやめようかな」と思われているドクターにおかれましては、まずは以下のチェック項目についてご確認いただくことをオススメしたいと思います。

「辞める気」でまずは動いてみませんか?

産業医をしていますと、社員さんの中に「実はこっそり転職活動していまして…」という方が結構な割合でいらっしゃいます。

それで内定が決まったという人は、どこかスッキリしていて、「今までのストレスなどどこ吹く風」といった印象になることがあります。また、同時に今まで言えなかったこと、溜め込んでいたことを上司や同僚に対して吐き出すこともできるようになった、という方もおられます。

「よし、辞めよう」と覚悟を決めるだけでも、「今まで上司に言えなかったことを言えるようになる、相談できる」ということもあると思います。

私は後期研修医だった頃、「当直やオンコールの回数が多くてしんどくて…不眠症状が最近、ますます悪化していて体調も悪いんです」「入院患者の担当数、他の先生に比べて多いですよね。重患も多いし、減らすことはできませんか?」など、今まで不満に思っていたこと、改善して欲しいことなど、腹を割って医長と話すことができたなら、また違った結果になっていたと思います。

相談しても無駄、と思っておられたとしても、その後悔を残しておくことはすべきではないかな、と思っております。

「辞める気」になって、覚悟を決めて上司に相談してみる、というのは試してみるべきことの一つだと思います。

「臨床医への未練」はもうありませんか?

私も後期研修医をドロップアウトして、「もう臨床医なんか懲り懲りだ」と思ってはいましたが、それでもしばらくすると「もうちょっと続けておけばよかったかな」「バイトするにしても、もうちょっと経験がないと大変かも…」「専門医資格ぐらいはとっておけばよかったかな」といった、未練のような気持ちが沸き起こっていました。

もう今では「産業医をやっていこう、臨床医はできないよな」と思っている私でも、辞めてしばらくしたらそう思っていたぐらいですから、「臨床医であることにこだわり」がおありな方でしたら、未練や後悔といった気持ちは強くなるのではないでしょうか。

ですので、臨床医を辞めるに当たって、「本当に未練はないのか?」と思い返して整理してみて、やめて後悔はしないのかを今一度考えてみましょう。「辞めたい、辞めたい」という気持ちのままですと、やはりなかなか「未練はないのか?」という視点では考えられないですからね。

今でも、専門医資格は取得してからやめるべきだったと思うことはあります。転職の時に履歴書がスカスカで寂しいということもありますし…

やめるタイミングはいつか考えましたか?

後期研修医として勤務をしていた病院を私が辞めたのは、体調不良と医長との関係悪化が重なってストレスがピークだった時です。要はやめるべきタイミングも考えず、単に「やめたいからやめた」という、まったくもって考えなしな退職です。

最悪なタイミング・方法になってしまった私の転職活動【医師転職】
私は後期研修の途中、専門医資格すら取得できていない時に転職活動を始めました。当時、不眠症状に悩まされて、あまり冷静に考えられない時に転職活動を始めたわけで、この時点であまり良くなかったな、とも思います。 さらに、地元の慢性期の病院に転職しよ...

こちらの記事にも書きましたが、それからしばらくはだらだらとバイト生活をして、産業医としての転職もなかなか決まらないという時期を過ごしてしまうことになりました。

振り返って見ると、私がやめるべきタイミングとしては、「次の転職先が決まったタイミング」「専門医の資格を取得したタイミング」などといったものがあったはずです。後先考えずにやめてしまうと、私のように次がなかなか決まらず、不安や焦りばかりを生む結果になってしまいますので、オススメしません。

「いつやめるのか」というタイミングをまずはしっかり検討しましょう。

臨床医をやめるとして、次に何をしますか?

臨床医やめるとしても、退職後の余りある時間をどう過ごしますか?私も退職後は、今まで積んでいたゲーム三昧、海外ドラマ三昧の日々を数週間過ごしました。ですが、それもしばらくすれば飽きてしまいました。

また、「もう働くなくても食っていける」ほどの資産を臨床医の給料だけで築くのは不可能だと思います。常勤であれ、非常勤であれ、働くことは避けられないのではないでしょうか。

となりますと、やはり「退職して、どのように働くのか」「次の目標はどうするのか?」ということはしっかりと考えておくべきだと思います。

もし産業医になろうとお考えということでしたら、

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といった記事をご参考にしていただければと思います。

少なくとも、ドロッポ医になって「食いつなぐためだけのバイト」をするぐらいだったら、産業医をやってみるのはよっぽどオススメだと思います。

「今の職場」がイヤなだけの可能性はありませんか?

当直やオンコール回数、救急対応の件数や受け持ち患者数などなど、病院によってその負担の大きさはマチマチです。あまり「他の病院で勤務する」ということがありませんと、今の病院での就業条件・環境が全てと思い込んでしまう節があります。

そこで、「当直回数が今の半分なら働ける」「当直なしなら働ける」「当直や深夜の問い合わせ・呼び出しがなければ働ける」などなど、自分は一体、臨床医としてどのようなラインならば働けるのか、といったことを考え直すことも大事なことだと思います。

まずは「臨床医をやめるのではなく、自分の働ける条件で転職する」ことも検討してみてはいかがでしょうか。「こんな条件無理だよな…」と思っていても、意外にそのような求人もあったりします。まずはリクルートドクターズキャリア[PR]や、エムスリーキャリアにご相談いただいてはいかがでしょうか。

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