私が内科外来で勤務している病院で、そこの医療事務の女性から「昨晩、気管支喘息の発作が出てしまいまして、診てください」と依頼されました。
吸入薬は継続されていたようですが発作を起こされたとのことで、ネブライザー、ステロイド点滴の上、プレドニンを処方しました。その上で、「発作の症状が治まるまでは自宅安静で休養した方がいい」と勧め、その場では「分かりました」と了承いただきました。
その後、2日休業の後、復帰されたとのことですが、再び夜間に咳嗽、喘鳴で起きてしまう症状が出たようです。明らかに発作が治まっていないにも関わらず出勤を続け、再び私の外来を受診されました。
「発作が完全に治まるまでは、自宅療養した方がいい」と改めて勧めましたが、「安静時にはよくなってきたので大丈夫です。上司からは、『また勤務中に悪化するようだったら点滴を打ってもらうように』と指示されています」とのこと。
「症状悪化すれば点滴を打てばいい、ということではない。喘息の発作は命に関わる状態であり、無理して働くべきではない」と改めて説明しましたが、あまり響いてはいない様子でした。
昨今、働き方への意識は変わりつつあると感じていましたが、「無理して働いてしまう」という社員もおり、さらにはそれを容認してしまう上司が存在することに愕然としました。やはり、主治医もしくは産業医の立場で、本人・上司がいい顔をしなくとも、「今は勤務すべきではない」といった意見を述べるということは依然として必要なのだと再認識しました。
私としましては今回、主治医として改めて「発作症状が出ていて、夜間ぐっすりと休むことができないような状態では自宅安静が必要」という意見を述べた上で、また上司と勤務について相談してもらうこととしました。
少なくともこのような、「体調が悪くても無理して働いてしまう社員、それを容認してしまう上司」の関係性がなくなって欲しいところです。