私は内科の中のとある科のドクターとして非常勤外来に勤務しておりますが、その病院の常勤医師は3名体制でした。3名の頃は、非常勤の私から見ても互いにサポートし合っている様子が見てとれ、業務的にも非常によく回っていたようにも思います。
しかしながら、昨年に3名の内の最も若手の医師が退職し、2名体制になってから、その様子は明らかに変わりました。
医長と中堅医師という体制で、中堅医師が中心となって病棟を回している状態です。さらには、医長の手前、中堅医師が自分で入院患者も積極的に受け入れざるを得ず、若手医師が担っていた業務負担は一気に跳ね上がっていきました。
結果、入院患者を減らしたいがため、やや無理にでも退院させようとした結果、中堅医師が入院受け持ちをした患者さんが私の外来に受診するというケースが増えました。また、そのカルテ内容を見ても、診断や治療内容に疑問を抱くようなケースが散見してくるようになりました。
明らかに業務飽和状態で、院内で見かけた中堅医師の様子は、かなり疲弊している様子です。入院が望ましい患者さんの件で、中堅医師に電話をした際には、以前のような柔和さは消え、明らかに「私の仕事を増やすな」といった感じで刺々しいものになってしまっていました。
私も経験ありますが、先輩医師が一人、また一人と減っていき、結果として私も業務量が増えて余裕がなくなってしまい、ストレスを溜め込んでしまっていました。私の場合は人材紹介会社「リクルートドクターズキャリア[PR]」の紹介で産業医への転職という選択を選びましたが、もしかした中堅医師もまた、近い内に転職という道を選ぶのかなぁ、などと予想しています。
ただ、それは決して「逃げた」といったことでもなく、悪いことでもなんでもないと私は思います。それで患者さんとトラブルになったり、決定的な誤診、医療過誤に繋がるよりは、よっぽど正しい選択であると思います。
自分自身が疲弊している、ストレスを抱えているといったことは、なかなか気づかないものです。不眠症状、苛立ち、業務上でのミスが目立つといった兆候が見られているようだったら、一度、立ち止まって転職といった選択肢についてお考えいただくのはいかがでしょうか。