簡単な要約・ポイントまとめ
1) かつてコンサルタントというのは少数精鋭であったが、現在では「大衆化」が進み、そのコンサルティングスキルについては、かなり個体差が大きい時代になっている。
2) その中でコンサルタントの良し悪しを見極めるための「10の質問」がある。この質問により、「業界」に精通し、市場をどう分析しているか。課題について常にアンテナを張り、常にプレゼンできるようにまとめられているかどうか。数字に強く、さらには表面上の分析だけに終わらず実行可能なアイディアが提言できるか、ということを見極める。
3) 便利づかい的に調査分析を行う「高級人材派遣」や、頼まれた通り社内資料を作る「高級筆記用具」などと揶揄されるような「いたいコンサル」ではない、「すごいコンサル」を見極めるため、コンサルタントを雇う前に質問を投げかけてみるべきである。
4) 「上辺だけのトーク」だけではなく、コンサルタントは経験値も重要で、「過去のプロジェクトの累積経験とともにスキルが磨かれなければならない」のである。
詳しい内容
かつてコンサルタントというのは少数精鋭であったが、現在では「大衆化」が進み、そのコンサルティングスキルについては、かなり個体差が大きい時代になっているそうです。
その中で、そのコンサルタントの良し悪しを見極めるための「10の質問」があるといいます。
その質問というのは、
1 わが社の属する業界の歴史と構造変化をどう見ていますか?
2 今回お願いするプロジェクトの最終提言の仮説は何ですか?
3 わが社の中期経営計画で鍵となる施策とその利益効果の根拠はなんですか?
4 わが社が競合に勝つためにとるべき最も重要なアクションは何ですか?
5 わが社の周辺事業への展開についてどうお考えですか?
6 現在のわが社の戦略で誤っている点、見逃している点はなんですか?
7 わが社の意思決定プロセスの特徴をどう見ていますか?
8 今回のプロジェクトは成功報酬でお支払いしてもよろしいですか?
9 過去のプロジェクトで最長のもの、最大の効果を出したものはなんですか?
10 今回のプロジェクトにあなた自身はどれくらいの時間を使ってもらえますか?
とのこと。
たとえばこれがコンサルトの採用面接などで出される質問だとすれば、応募者も逃げ出したくなるような数々の質問ですね。これらの質問の中で、何を見極めるかと言えば、
・「業界」に精通し、市場をどう分析しているか。
・課題について常にアンテナを張り、常にプレゼンできるようにまとめられているかどうか。
・数字に強く、さらには表面上の分析だけに終わらず実行可能なアイディアが提言できるか。
・時には耳の痛いような話も直言・進言できるか。
ということのようです。これらは産業医・産業衛生コンサルタントとしても必要なことであると読んでて思いました。
コンサルタントとしてのスキルの一つに、「伝えたいことを簡潔に伝える」というものがあり、「クライアントと同じエレベーターに乗って、目的階に着くまでの30秒で課題や解決が伝えられる」というものがあるそうです。
「エレベータートーク」というものだそうですが、「常に仮説を持ち、それが簡潔に頭の中で整理されている」ということがコンサルタントには必要だそうです。こういった訓練を一流のコンサルタントさんは常に行っているんでしょうね。
ただ、こうした「上辺だけのトーク」だけではなく、コンサルタントは経験値も重要で、「過去のプロジェクトの累積経験とともにスキルが磨かれなければならない」とのことであり、この辺は臨床医と同じようにも感じました。症例数の数だけ、そしてその症例からどれだけ学ぶことができるかでレベルに差がつくということですね。
また、この書籍の中では、「コンサルタントの大衆化・個体差が大きくなったのはどうしてか?」「コンサルティング会社の採用試験」や、コンサルトとして働く上での裏話などが満載であり、「コンサルタント」と呼ばれる人たちがどのような人々なのかを知るのにとても参考になりました。
「コンサルタントを雇いたいと思っているんだけど、優秀な人かどうか、どう見極めたらいいのか分からない」といった人や、「コンサルタントになりたいんだけど、どのようなことを学んでいけばいいんだろうか」というコンサルタント志望者にもお勧めの本であると思われます。
もしご興味があるようでしたら、ご一読いただければと思います。