「ヒアリ」に刺された患者さんへの対処方法「ハチ刺傷を念頭に対処法をおさらい」

「ヒアリ」が、国内でも兵庫県尼崎市、神戸市だけでなく、東京都などでも発見されているようです。今後は、外来や当直中に「ヒアリに刺された(かもしれない)」と訴える患者さんがやってくることも十二分に考えられますね。

さて、そのような患者さんがいらっしゃった場合、どのように対応すべきか、今回は書いてみたいと思います。

軽症の場合

軽症とは、局所に症状がとどまっているような状況です。

ヒアリに刺されますと、刺された瞬間から熱感・疼痛などが起こります。そのため、一般的なハチ刺傷と同様に、
1) 局所を冷却、抗ヒスタミン軟膏やステロイド剤などで疼痛や腫脹対策を行う。
2) 少なくとも30分程度はしっかりと安静にさせ、体調に変化がないか確認。
といった対処が考えられます。

特に、ヒアリの毒は、アルカロイド毒だけでなく、ハチ毒にも含まれる成分が含まれていることもあり、ハチ毒と交叉反応を起こすことが十二分に考えられます。

そのため、上記処置とともに、「過去に、ハチに刺されてアレルギーを起こしたことはありますか?」という問診は大事かと思われます。

中等症~重症の場合

中等症以上とは、刺された部位から腫れが広がったり、かゆみ、発疹、呼吸困難感などがみられ、全身的な症状が広がっているような場合です。

そのような場合、
1) まずは気道確保・酸素吸入、モニター下で管理
2) ルート確保、抗ヒスタミン薬やステロイド投与
などが必要であり、なおかつアナフィラキシーショックに陥っているようであれば、アドレナリンの筋肉注射を行うことが必要になってくると考えられます。

ヒアリの毒性としては、それほど致死性というわけでもないため、怖いのはアレルギー症状、アナフィラキシーショックといったところでしょうか。基本的には、ハチ刺傷を念頭に考えて対処すればよさそうですね。

一方で、「本当にヒアリに刺されたの?」という確認も重要です。

もし当直や救急外来での対応を求められたら、「噛まれたとおぼしきアリを、潰したあとでも良いので、小瓶などに入れて持ってきてください」という指示もお忘れなく。

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