2019年4月から!「産業医への情報提供」「産業医の勧告を巡る対応」についての法改正ポイントまとめ

今年4月1日から、産業医に関係する、労働安全衛生法の改正が行われ、産業医・企業へと求められる役割・対応が変わっています。

ですが、なかなか分かりにくいということもあり、「具体的に、どうしたらいいの?」ということを今回はまとめてみたいと思います。

企業側からの情報提供について

まず、安衛法では以下のように定められています。

産業医を選任した事業者は、産業医に対し、厚生労働省令で定めるところにより、労働者の労働時間に関する情報その他の産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要な情報として厚生労働省令で定めるものを提供しなければならない。

労働安全衛生法 第13条4項

労働時間はそのものですのでハッキリとしていますが、「労働者の健康管理等を適切に行うために必要な情報」とはなんでしょうか?この点については、以下に定められています(内容をまとめています)。

・健診、面接指導やストレスチェック後の就業上の「講じた措置又は講じようとする措置」内容
・その他、健康管理上必要なもの

安衛則第14条の2(産業医に対する情報の提供)による

なお、労働時間に関しては、「月80時間越えの労働者の氏名および時間情報」を提供するものとなっています。

さて、こうした企業側からの情報提供を受け、産業医がどう対処すべきかは、以下のようになっています。

産業医が勧告することについての改正点

安衛法第13条第5項によりますと、

産業医は、労働者の健康を確保するため必要があると認めるときは、事業者に対し、労働者の健康管理等について必要な勧告をすることができる。この場合において、事業者は、当該勧告を尊重しなければならない。

とあります。

この点は従前と変らないように思いますが、「安衛則第14条の3」によりますと、

産業医は、法第十三条第五項の勧告をしようとするときは、あらかじめ、当該勧告の内容について、事業者の意見を求めるものとする。

と書かれています。

この点からすると、「勧告して、はい終わり」ではなく、しっかりと産業医と企業に対応策を協議してもらいたい、企業側の都合も斟酌すべき、という点が込められているように思いますね。

さて、その後の流れとしては、以下のようになっています。

「勧告」後の措置

まずは安衛法第13条6項のところには、以下の用に記載されています。

事業者は、前項の勧告を受けたときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該勧告の内容その他の厚生労働省令で定める事項を衛生委員会又は安全衛生委員会に報告しなければならない。

衛生委員会を中心とし、勧告内容の報告、またその事後措置を報告するべきとされているわけですね。

さらに、事業者は安衛則第14条の四により、

勧告を受けたときは、次に掲げる事項を記録し、これを三年間保存しなければならない。
・当該勧告の内容
・当該勧告を踏まえて講じた措置の内容(措置を講じない場合にあつては、その旨及びその理由)

とあり、勧告内容、措置についての記録をしっかりと残しておきましょう、とされているわけです。

産業医も、「ここの点がダメだよ。直してよ」と企業側に勧告するだけではなく、問題解決に積極的に取り組み、企業側と協議しつつ解決策を探るという時代になるということですね。「課題解決型」産業医が今後はさらに求められるということのようです。

補足・資料

改正された安衛法、安衛則については、

労働安全衛生法 第三章 安全衛生管理体制(第十条-第十九条の三)
労働安全衛生規則 第一編 第二章 安全衛生管理体制(第二条-第二十四条の二)
に記載されています。4月になる前に、ぜひご一読いただくことをオススメします。

また、「「働き方改革関連法」施行!産業医が「長時間労働者面談」で注意したい3つのポイント」もよろしければご参考にしてください。

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