産業医の仕事に興味がある、あるいは「自分は臨床に向いていない」と早々に決断して産業医へと転職するのは、それはそれで良いことだと思っています。要は、「自分が納得しているか否か」というところが重要ではないでしょうか。
私は後期研修医(現在の専攻医)の時にドロップアウトするかのように辞めて、産業医へと転職しました。その時は七転八倒するかのように悩み続けていました。
今回の記事では、実際のところ「初期研修を終えてすぐ産業医に」なるためにはどのようにしたらいいのか、スケジューリングを含めて書いてみたいと思います。
認定産業医資格の取得について
まずは、認定産業医資格の取得をしないと話になりませんので、とりあえずは取得をめざすことが先決ですね。
なお、認定産業医資格以外でも産業医になる資格は得られるわけですが、「初期研修修了」時点で産業医になる上で、一番現実的なのが認定産業医ですので、ここでは「認定産業医資格を取得→常勤産業医」というルートで考えたいと思います。
と言っても、試験があるわけではなく、講座で単位を集めるだけですので、この単位集めをいかに要領よくこなすかにかかってきます。
方法としては、「集中講座を受講」することが一番オススメだと思います。研修会の探し方や受講方法については、
に書いておりますので、ご参照いただければと思います。
「集中講座」をどう受講するか
集中講座ですと、6~7日間という期間が丸々必要となります。こうした期間を捻出するためには、
・夏季休暇を利用する。
・医長や研修プログラム統括者に相談し、受講を許可してもらう。
といったことが必要になると思います。
この点、正直に「初期研修修了後は、すぐに産業医として勤務したいと思っています。ですので、認定産業医になるための集中講座を受けに行かせていただけませんでしょうか」といった形で相談すれば、NOと言われることはないのではないでしょうか。
「相談」するタイミングに注意
集中講座の予約はかなりの高倍率で、人気アーティストのコンサートチケットのようにほぼ「即完」します。
ですので、まずは「集中講座の予約」を頑張り、事前に予約した上で「この期間、休ませてもらいたい」と医長や研修プログラム統括者へ相談するべきだと思います。そうでないと、「予約できない」上に、無駄に相談をしてしまうことになってしまいます。
「集中講座の予約」ができるかどうかの部分が非常に重要な部分ですので、その点はしっかりと確認してから相談するようにしましょう。
集中講座を受けるのは1年目?2年目?
上記のように、集中講座の予約ができるかどうか分からないという曖昧な要素がありますので、「1年目から集中講座を予約してみる」ことをやっておくべきだと思います。万が一、1年目で「ダメだった」という場合は、2年目にかけるということになるわけです。
また、2年目に集中して就職活動を行うためにも、研修1年目に認定産業医資格取得を目指しておくことが望ましいと思われます。
だから、結論としては「1年目から認定産業医になるための集中講座を受けられるように動いておくべき」であると思います。「1年目は産業医になることより、臨床で学ぶことに集中しろよ」と言われるかもしれませんが、「初期研修終了後、すぐに産業医」を目指すならそこは譲れないところだと思います。
就職活動開始時期
初期研修終了後、4月入職を目指すということでしたら、遅くとも12月、できれば秋口には転職活動を本格スタートさせておきたいところです。
実際、未経験での産業医入職は、困難が予想されますので、できれば長めに3ヶ月以上の就職活動期間をとっておきたいところです。
ですので、1年目の冬までには認定産業医資格取得→夏・秋頃には求人情報を収集→12月、1月頃に企業面接を受け、内定を得ておく。といったパターンが理想かな、と思われます。
就職活動について
自力で「未経験可」の常勤産業医の求人を探し、応募するのはなかなかにハードルが高いです。いわゆる「一社目の壁」を突破する必要がありますし、なおかつ「初期研修終了直後」ということですと、なおさら困難が予想されます。
では、求人探しをどうするかということになりますと、人材紹介会社のリクルートドクターズキャリア[PR]や、エムスリーキャリアに登録し、転職エージェントに相談しておくことで行います。
実際、私も産業医未経験の時、必死にネット検索を続けるという求人探しでは全く上手くいきませんでした。ですが、リクルートドクターズキャリア[PR]に登録したことで、紹介してもらった求人先に常勤産業医として入職することができました。ですので、無理せず「すぐに転職エージェントに相談」することをオススメしたいと思います。
「保険」をかけておくことも重要
認定産業医の資格を取得できるか、また企業から本当に「求人がもらえるのか」という部分は不確定な要素であり、実際に上手くいくかどうかは分かりません。
そこで、一つ「保険」を打っておくことも重要ではないか、と私として思います。その保険というのは、専攻医になるということです。「産業医の内定がもらえなかったら、専攻医になってまた再度、来年度以降に挑戦」といったこともできると思います。
無理をせず、「認定産業医の資格取得、内定ゲットができたらもうけもの」ぐらいのスタンスで事を進めておくのもいいのではないかな、と私としては思うわけです。