誰しも、何事においても「初めて」という経験があります。私の場合、その初めての「産業医への転職」で大きく失敗しました。
1年更新の契約だったのですが、3年目を目前にして「契約更新はしません」とはっきりと告げられました。言葉こそ柔らかくはありましたが、実質的には「クビ」です。今回は、その時に自分がどのような失敗をしてしまったのかを振り返ってみたいと思います。産業医への転職をお考えであれば、同じ轍を踏むような真似は避けていただければと存じます。
しくじり1:「誤魔化す」ことの問題点
産業医に転職して痛感するのは、それまでの臨床経験だけでは乗り切れない場面が思いのほか多い、ということです。「この場面では、どのように判断すべきか」「この社員さんへの対応は、どうするのが正解なのか」「そもそもこれはどういうことなのか」といった場面が、初めのうちは頻繁に出てきます。
こうした時に、人事労務担当者や社内の関係者に素直に質問したり、「このような場合にはどう対応するのが望ましいでしょうか」と相談したりすることは、ためらわずにやっておいた方がよいと思います。
私が失敗したのは、そこで変に取り繕ったり、知っているふりをしてしまったことです。「あ、この先生、知ったかぶりをしているな」と相手に気づかれた瞬間、損をするのは自分です。分からないことを分からないと言い、教えを請う姿勢を持てるかどうかが、産業医一年目の大きな分かれ目になると思っています。
しくじり2:「これでいいだろ」という慢心
ある程度、産業医の業務に慣れてくると、今度は別の落とし穴が待っています。「これくらいの対応でいいだろう」という慢心です。
相手が全く納得していない対応をしているにもかかわらず、自分だけがそれに気づいておらず、自己満足の状態で完結してしまっている、というケースがあります。私自身、まさにこれをやってしまっていました。
「今の対応は本当に正しかったのだろうか」と自分に問いかける習慣を持つことと、人事労務担当者に対してこまめに「あの対応はいかがでしたか?」と確認する姿勢を持つことが、慢心を防ぐ上では重要だと思います。フィードバックをもらうことはとても大切なことです。こうした小さな確認を怠ると、知らないうちに評価がじわじわと下がっていきます。
しくじり3:相談されたら、できる限りの対応をする
産業医の初心者にとって、社員さんから相談を受けた時に「どう対応すればいいのか分からない」というのは自然なことです。問題は、その後の動き方です。
自分なりに調べても解決策が見えず、どう返答すればいいか分からないまま、回答期限ギリギリまで何もせずに放置し、最終的にいい加減な返事をしてしまう。これが最悪のパターンです。恥ずかしながら、私は実際にこれをやってしまっていました。
たとえ完璧な回答でなくても、できる限り早く自分なりの返答をして、そこから新たな問題点を見つけて対応していくというプロセスを踏むことが大切です。返答が遅く、内容もいい加減だと、「あの先生に聞いても意味がない」と思われるようになります。そうなると、そもそも相談すらしてもらえなくなります。相談が来なくなった産業医は、職場の中で機能を失ったも同然です。それがクビへのカウントダウンの始まりでもありました。
まとめ
振り返ってみると、3つのしくじりに共通しているのは「誠実に向き合っていたか」という点です。知らないことを誤魔化さず、慢心せず自分の対応を見直し、相談には真摯に応える。産業医として当たり前のことのように聞こえますが、慣れてくればくるほど、この当たり前が疎かになりやすいという落とし穴があります。
一社目での失敗は苦い経験でしたが、そこから得た気づきは確実に次に活きています。これから産業医への転職を考えている方には、ぜひ同じしくじりを避けてほしいと思っています。
ですが、失敗は誰にもつきものだったりします。私同様、上手くいかなかった場合は「次」への転職を考えることも大切なことです。もし必要であれば、速やかにリクルートドクターズキャリア[PR]のキャリアエージェントに相談をしていただければと存じます。
