「労働衛生コンサルタントの業務は何か?産業医との違いは何か?」という口述試験頻出問題のポイントを分かりやすく解説

産業医が労働衛生コンサルタントの試験(保健衛生)の口述試験を受けますと、必ずと言っていいほど質問されるのが、「労働衛生コンサルタントの業務とは何か?」「労働衛生コンサルタントと産業医との違いは?」と質問されます。

シンプルな問題故に、「どこまで答えればいいのか?」と思われる方も多いと思いますので、今回の記事では、これから労働衛生コンサルタント口述試験の勉強を始めようという方に向けて、できるだけ分かりやすく書いてみたいと思います。

労働衛生コンサルタントの業務とは何か?

労働衛生コンサルタントの業務としては、「労働衛生コンサルタントの名称を用いて、他人の求めに応じ報酬を得て、労働者の衛生の水準の向上を図るため、事業場の衛生についての診断及びこれに基づく指導を行なうこと」とされています(安全衛生法第81条)。

この条文を丸々、暗唱するよう求められた受験者もいたそうです。しっかり覚えておきましょう。

特に「労働者の衛生の水準の向上を図るため、事業場の衛生についての診断及びこれに基づく指導を行なう」という部分が重要です。

労働衛生コンサルタントは「労働者の衛生の水準の向上」という目的を担っており、それを実現するために事業場で、「衛生についての診断・指導」を行うということになります。

ちなみに事業場とは、よく産業衛生分野で出てくる言葉ですが、「オフィス・店舗・工場などの事業が行われている場所のこと」です。会社全体ということではなく、それぞれの事業が行われている場所というイメージです。

「衛生についての診断・指導」というのは何かと言いますと、そもそも労働衛生コンサルタントに求められる業務として「労働衛生診断」というものがあります。

「労働衛生診断」は何かと言いますと、衛生管理体制や、労働者の健康障害を防止する措置などについて、「法令に即して正しく運用されているかどうかのチェック」「作業環境管理・作業管理・健康管理の視点で職場内の点検」といったことを行います。

労働衛生の5管理とは
労働衛生の5管理とは、 1) 作業環境管理 2) 作業管理 3) 健康管理 4) 労働衛生教育 5) 総括管理 です。 「1) 作業環境管理、2) 作業管理、3) 健康管理」の3管理が、労働衛生管理の基本となるもので、これに総括管理と労働衛...

こうした診断に基づいて、企業にフィードバックを行い、「指導」を行うというまでが労働衛生コンサルタントの業務ということになります。

なお、「労働衛生コンサルタントの義務は?」という質問もよく行われます。

労働安全衛生法86条の

・コンサルタントは、コンサルタントの信用を傷つけ、又はコンサルタント全体の不名誉となるような行為をしてはならない。

・コンサルタントは、その業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。コンサルタントでなくなつた後においても、同様とする。

も追加で質問されるので覚えておきましょう。

「コンサルタントの信用に関わるような行為、不名誉となるような行為」「守秘義務違反」はNGということですね。

産業医との違いは?

産業医は、「労働者の健康を確保するため必要があると認めるときは、事業者に対し、労働者の健康管理等について必要な勧告をすることができる。この場合において、事業者は、当該勧告を尊重しなければならない」(労働安全衛生法第13条第5項)とあり、労働衛生コンサルタントはこのような勧告を行うことはできません。

また、産業医は「常時50人以上の労働者を使用する事業場ごとに1人以上の産業医を選任しなければならない」(労働安全衛生法第13条)とあり、選任義務がありますが、労働衛生コンサルタントの場合は選任義務はありません。

簡単にまとめると、

・産業医→勧告できる。選任されていることもあり、組織の一員として存在。

・労働衛生コンサルタント→勧告できない。選任義務はなく、基本的に企業外で独立した存在。

となります。

以上です。
なお、労働衛生コンサルタント試験の勉強におけるポイントについてまとめた、

産業医のための労働衛生コンサルタント口述試験対策マニュアル: 一発合格するための秘訣

頻出問題の紹介と解説を行った、

まずはこれだけ!労働衛生コンサルタント口述試験対策問題集: 必須の41問

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