産業医になる転職のタイミング-初期研修から専攻医までの「避けるべき時期」とは

産業医になろうか迷っておられるというドクターからの質問で、よくあるのが「どのタイミングで産業医になったらいいでしょうか?」というものです。

人にはそれぞれ事情があり、それこそまさに「本人が決める問題」とは思いますが、それ以上に実は「避けるべき時期」というものがあり、まずはその時期を除いて考えてみるのがいいかな、と私としては思っています。

これから産業医になろうと思われている、特に若手医師の方にはぜひ念頭に置いておいていただきたいことです。この記事がご参考になれば幸いです。

初期研修医の時の転職が絶対NGな理由

「何を当たり前のことを」と思われるかもしれませんが、初期研修を修了していない段階での転職は絶対に避けるべきです。なにがなんでも、初期研修だけは修了しておきましょう。

そもそも、初期研修すら修了していない段階の医師を、企業側も採用したいとはあまり考えていません。「臨床経験はあまり重要視していない」という企業も多いですが、そうした企業ですら「初期研修を含め2年以上の医師(臨床)経験」を求人票の条件としていたりします。

また、初期研修を修了していないとキャリア上のかなり大きなリスクとなります。万が一「産業医、合わないなぁ。臨床に戻ろうか」となった時に、雇ってくれる病院もありませんし、「医師としてバイトで食いつなぐ」こともできません。

だからこそ「産業医への転職を考えるなら、まずは初期研修を修了してから」ということを考えましょう。

専攻医になって1年未満

専攻医になった直後というのも、実は避けるべきかなと思っています。なぜかと言いますと、「臨床バイトの選択肢が極端に狭まってしまうから」です。

専攻医になり、当直・オンコール・外来診療などを日々、担っていくことになると思いますが、特に外来診療はやっているか否か、一人で担当できるかどうかというのは非常に大きな違いとなります。

特に、産業医になって「夜しんどいし、当直バイトは避けたいなぁ」という時に外来診療バイトは時給も比較的高く、「産業医として週4勤務し、週1で外来バイト」というのは働きやすいと思います。

ですので、一つの目安として「バイトで外来診療が担える」レベルにはなっておいた方が、後々の年収面で重要な要素となっていると思います。

産業医になって後悔する場合

産業医になって、「やっぱり臨床に未練がある」とのことで戻られるドクターもおられます。もちろん、それも周囲がとやかく言う問題ではありませんし、自分が納得できればいいと思います。

産業医か臨床医か。その選択が私の場合は「もう臨床、無理よ…」となってほぼ100:0であったので迷うことはありませんでしたが、「産業医になろうか、どうしようか…」と迷っておられる方の方が多いでしょう。

特に、「今の働き方が自分にとって厳しい」という理由で産業医になろうとお考えの場合は、注意しておいた方がいいと思います。臨床への興味関心が薄れてはいないけれども、「体力的/体調的に厳しい」「プライベートの時間を今みたいに削って働くのは無理」といったことが転職の動機ということであれば、「臨床医として、もう少し無理のない働き方はできないだろうか」と別の方法での転職を検討することも必要であると思います。

以上です。
ただ、基本的に「産業医として働いてみたい」「産業医になってみたい」という思いがあって転職をされることは問題があるわけではなく、ぜひ歓迎したいところです。若手の方も産業医になっておられる方はいますし、また臨床経験豊富なドクターも「若手の時に、実は産業医になりたかった」という思いで産業医へ転身したという方もおられます。

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