専攻医から産業医へ転職する上でやっておくべき3つの準備

私は内科系の後期研修医の時に、「勤務医、もう無理…」とギブアップする形で産業医へと転職しました。それから10年近くが経過し、すでに臨床医だった期間よりも産業医の方が長くなっています。

そこで改めて、「産業医への転職」をする上でどのような準備をしておくべきかということについて、今回の記事では書いてみたいと思います。

もし現在、専攻医でこれから産業医への転身をお考えという方にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。

「一から学び直す」心持ち

産業医にこれからなろうという方から、「おすすめの教科書はなんですか?」といった質問をされることがあります。もちろん、読まない・学ばないよりは知識を吸収しておいた方がいいですが、そうした知識だけで太刀打ちできるかと言いますと、そうならないのが産業医の仕事の面白いところで、なかなか本を紹介するのが難しかったりします。

では、「産業医の仕事ってどうやって覚えていくの?」ということですが、私としては、「複数の師匠から色んなことを学ぶ」のがいいと思っています。

師匠というのは本当に色んなところにいて、私は人事の課長から「社員との良い距離感での接し方」「社内プレゼンの方法」を学びましたし、ベテラン保健師から「保健指導・受診勧奨のやり方」を学びました。

先輩産業医から、産業医としての仕事を一通り学んではいますが、それ以上に「人事労務担当者との上手い接し方」「企業への適切な物申し方」なんてことの方が勉強になったなぁと思っています。

こうした「先輩産業医だけでなく、色んなところにいる師匠から、たくさん吸収しよう」と思うためには、「新たな環境で一から学び直しをするんだ」と思っていないとなかなか難しいと思います。ですので、下手に本で知識ばかり吸収しようとせず、仕事をしつつ色んなことを学んでいこうと思っていた方がいいと思います。

気持ちのリセット

私は産業医になった当時、「後期研修も上手くいかなかった」「専門医資格すら持っていない」「転職活動も上手くいかない…」なんてことが重なっており、メンタルが絶不調状態でした。

だからこそ、企業に産業医として入職した時も、「私なんかが…」という思いが尾を引き、かと思えば、「心機一転、なんとか頑張らなければ!」という思いが先行して空回りしてしまい、今思えば最悪なスタートでした。

私のように、臨床医としての心や鼻をポッキリ折られて産業医になろうという人ばかりではないでしょうが、もし同様な経緯で産業医になるということでしたら、気持ちのリセットはぜひしておいた方がいいと思います。

臨床バイト先の確保

最近、私自身も非常勤外来のバイト先を変えようと、バイトでいくつかの求人にエントリーをしていたわけですが、「書類選考段階で落とされる」ことを経験しました。

それもそのはず、「専攻医資格を有して、バリバリの現役臨床医」と、「専攻医資格もなく、臨床から遠ざかっている私」が同じ土俵に立てるわけもなく、あえなく弾かれてしまいました。

もし現在、専攻医で病院勤務ということでしたら、産業医になるまえにしっかりと非常勤外来などのバイト先を確保しておくことをお勧めします。「現役臨床医である」という売りがある段階である方が、バイト先を確保しやすいと思います。

もっと言えば、専攻医のどの段階で産業医になるか、という問題も出てきますが、「外来バイトの応募できるぐらい」の臨床スキルなり経験があった方がいいと思います。「経験値」もまた重要です。

以上です。
もしこれから「産業医になる」ということでしたら、上記のようなことをご参考にしていただけますと幸いです。

また、これから転職活動ということでしたら、なかなか独力だと難しいです。私のように意地を張らずに、まずはエムスリーキャリアや、リクルートドクターズキャリアなどの求人紹介会社にご登録して相談から始めてみてはいかがでしょうか。

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