産業医転職における「期待値」と「居心地の良さ・働きやすさ」のバランスの重要性

産業医への転職希望者から、「どんな求人に応募したらいいでしょうか?」と質問を受けることもありますが、非常にこれが答えるのに窮します。

というのも、どんな企業を「居心地がいい・働きやすい」と感じるかというのは、本当に人それぞれだからです。ですが、「人によりますよ」と答えてしまっては元も子もありませんね。笑

そこで今回、求人選びを行う上で、私が大事だと思っている「期待値」と「居心地の良さ・働きやすさ」のバランスについて書いてみたいと思います。求人選びのご参考になれば幸いです。

「期待値」について

人事領域において、「期待値」という言葉がよく使われます。これは、企業側が雇っている人物に対し、「どの程度の働きを期待しているのか」という指標です。

期待値が上がれば、雇われている側はその期待値(目標)をクリアするのも大変になりますが、その一方で、対価である年収は上がる傾向にあります。

逆に、期待値が低ければ、雇われている側は「クリアするのも簡単」でありますが、年収は低めに設定される傾向にあります。会社員では、設定された目標に到達できない→年収や役職を下げて、「期待値を下げる」なんてことが行われたりもします。

期待値と居心地の良さ/働きやすさ

私は以前、「超大企業で金払いはいい。その分、産業医への期待値も高い」という企業に入職したことがあります。「働きに応じて、昇給アップもある」というところでもありましたが、私は居心地の悪さ、働きにくさを感じていました。

年に一度の目標設定、半期に一度の上司からの評価などもあり、正直、「これなら昇給なくて、固定給でいいから評価とかやめてよ」と思ってしまいました。笑

現在では、昇給もない代わりに、こうした目標設定や評価もない企業に勤務しています。期待値もほどよく、むしろ「さほど期待値が高くないから、期待値も超えやすく、感謝される」ということで働きやすさ、居心地の良さを感じています。

この点、「企業にどの程度の働きぶりを期待されるのか(=期待値)」という視点で求人を見てみるということは重要だと思います。

ただ、期待値の高さによる居心地の良し悪しや働きやすさは、個人差があり一概には言えません。私の場合は「低めに設定されている企業」が居心地よく感じています。ですが、「バリバリと高い期待値を超えていくことを目指したい」という方でしたら、低い期待値では「やりがい、張り合いがない。つまらない…」と感じてしまうかもしれません。

入職前にどう「期待値」を知るのか

では、この「期待値」をどう入職前に把握することができるのでしょうか。私としては、「採用面接」が一つキーとなると思っています。

採用面接の質疑応答の中で、面接官の質問で「なんとなく掴む」ということができるかもしれません。「産業医に求めたいこと」「産業医の理想像」などに触れる質問に、企業側の期待値は出てきやすいと思います。

また、求人票の年収の設定や、昇給にまつわる評価方法なども期待値を窺い知ることの助けになると思います。

あとは、エントリー前に、転職エージェントへ直接質問してみるというのも手です。こうした質問や相談を行うことができるのが、求人紹介会社を利用していることの大きなメリットであると思われます。

もしまだ求人紹介会社に登録をしていないということでしたら、エムスリーキャリアや、リクルートドクターズキャリアは間違いないと思っておりますので、まずはこちらのいずれかへの相談から始めてみてはいかがでしょうか。

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