日々仕事をしていて、ふと「私のこの仕事の意味って…何なんだろう?」と思うこともあるのではないでしょうか。仕事は上手くいく時ばかりではなく、失敗することもあります。また、患者さんからのクレームや、上司からのお叱りを受けてしまうこともあるかもしれません。
そんな時、ついついマイナス思考になってしまい、「こんな仕事をしていても、誰も喜ばないんじゃないか」「私の仕事なんて、意味ないんじゃないか」などと思ってしまうこともあるでしょう。

特に、後期研修医になりたての頃や、産業医になりたての頃によく思っていたように思います。経験に乏しく、自信がない。その上、思うように結果が出せない…という状況です。
ですが、こうした「私の仕事の意味って…」と悩むことは、あまり自分にとって得にならないと思います。その理由について、今回の記事では書いてみたいと思います。
物事のマイナス面しか印象に残らない
私を含め、マイナス思考な人というのはついつい、「目の前の仕事が上手くいかなかった」「クレームを受けた」「お叱りを受けた」という記憶ばかりが強く残り、実のところ、貢献していたり、感謝されていたりといったことが印象として残りにくいという傾向にあるのではないでしょうか。
私の場合、産業医になりたての頃は、メンタル不調の社員さんに対応する際、「どう動いたらいいんだろう…」と分からずに右往左往していたと思います。
今振り返ってみれば、大分、稚拙なことをしていましたし、失敗も数多く犯してしまっていたわけで、落ち込むことも多かったです。
ですが後々、面談をしていた社員さんに「話を親身になって聞いていただけて心が軽くなりました」と感謝されたことで、「そうか、しっかり話を聞くということで、救われていた人もいるのか」と思えたということもありました。

経験に乏しく、あまり上手くはない仕事運びではあっても、最善を尽くそうとすることで、誰かのためにはなっているということもあるはずです。
自らの士気を下げてしまう
「こんな仕事、何の意味があるんだよ…」と思っていますと、やはり仕事のパフォーマンスにも非常に影響してきます。そうなりますと悪循環で、ますます投げやりな仕事になってしまう可能性があります。

「最善を尽くそう。この仕事は、きっと誰かのためになっていといる」と思いつつ仕事をしているのと、「こんな仕事…」と思いながらやる仕事では、やはり大きな違いがあると思います。
「視点」の重要性と向き不向き
では、「私の仕事の意味って…」と思ってしまう際、どう対処したらいいのかということですが、「視点」は重要だと思います。
自分の仕事のマイナスな面ばかりに目を向けるのではなく、「誰かのためになっている」ということにもしっかりと意識を向けるということは大切なことであると思います。
その昔、映画監督の伊丹十三が、不貞腐れるように映画で使うカレーを作っていたADに、「君は今、カレーを作っているんじゃない。映画を作っているんだ」と語ったというあまりに有名なエピソードがありますが、そのカレーも映画にとってはなくてはならないものであるわけで、そうした「視点を変えて自分の仕事を捉え直す」ことも必要なことではないでしょうか。
ただ、世の中には悲しいかな、向き・不向きというのはあるわけです。不器用な私がもし、脳外科医になっていたら不幸な患者さんを増やし続けてしまう結果になるかもしれません(そもそも、そんなハードワークに耐えられるようにはできてませんが)。自分自身の「適性はいかほどか」という客観的な評価も、ある程度は必要であると思います。
私自身、「臨床医に向いていない」と思いつつ後期研修医として働いていたわけですが、そこで見切りをつけて産業医になったことは、結果的によかったと思っています。もし同様に「臨床医に向いていない…」と思いつつ働いているということでしたら、新たな道を模索してみるというのもいいのではないでしょうか。
その選択肢の一つとして、「産業医に興味がある」ということでしたら、エムスリーキャリアや、
リクルートドクターズキャリアといった求人紹介会社の転職エージェントに相談してみるのもよろしいかと思います。

