「専門医資格や、誇れる経歴がない」医師が知っておきたい、産業医転職における4つのポイント

私自身、後期研修をドロップアウトした上で産業医に転職しているため、専門医資格や十分な臨床経験もありませんでした。その上、コネもなければ医局も頼れない…というような状況でした。

そんな私でも、産業医に転職してなんとか10年近くやってこれているわけですが、同じような立場で、「専攻医をドロップアウトをして、産業医に転職しよう」とお考えの方になんらかのアドバイスができないかと考え、今回の記事を書こうと思いました。

「専門医資格や、誇れる経歴がない」時、産業上にどう上手く転職をするのかということについてという今回の記事がご参考になれば幸いです。

「どうして産業医に?」という志望動機対策

採用面接の時、ほぼ必ず「どうして産業医になろうと思われたのですか?」という質問をされます。

医師の大多数が臨床医の中、なぜわざわざ産業医になろうと思ったのか、やはり企業側も気になりますし、「やっぱやめた。臨床医に戻る」なんて言い出されたら困るわけです。

そこで、しっかりと志望動機を答え、熱意をもって「産業医にどうしてもなりたい!」と思っているのだとアピールすることは一つの戦略として大事なことです。志望動機の具体例としては、

・健診結果で要受診となっているのに、おろそかにして生活習慣病を悪化させてしまう患者が多く、そうした患者さんを一人でも少なくしたいと考えた。

・知人や友人など、近しい人が仕事でのストレスが原因でメンタル不調により休業せざるを得なかった。そうした人を一人でも多く減らし、元気に働けるようにサポートしたい。

・持病があって「治療をしつつ働く」という患者さんを診療しながら、同じ境遇で大変な思いをされている方は多いのではないかと思い、産業医の立場としてサポートできないかと考えた。

などといったことが挙げられます。

ポイントとしては、抽象的に「産業医の仕事に魅力を感じた」と語るのではなく、身近な出来事によるエピソード仕立てで、「こんなことがあって、産業医を志望した」といったことを語るといったところでしょうか。より熱意は伝わりやすいのではと思います。

内定がもらえなくてもくじけない

そもそも常勤産業医の求人数は少なく、また選考も書類選考→一次面接→二次面接を経て内定が出されるということもあり、「落とされてしまう」ということは結構あります。

実際、私も3社連続で落とされて、内定が出なかった時には落ち込み、「このまま転職できないのかな…」と思っていたこともありました。

ですが、諦めずにエントリーを続ければマッチする企業というのは出てくるはずですので、くじけずに転職活動を続けるということが必要だと思います。また、勤務を続けながら転職活動をしているということでしたら、ある程度の猶予があるはずですので、「時間」を味方につけて転職活動を続けることもできるのではないでしょうか。

行き過ぎたネガティブ思考に注意

私も「専門医資格もないし、おまけに後期研修はドロップアウトしてしまっているし…」と、転職活動の際に、とてもネガティブになっていました。そのような後ろ向きな態度、自分を卑下するような考えは、転職活動においてマイナスにしかなりません。

「できないこと、自分にないもの」に着目するのではなく、「今までやってきた仕事、できた仕事」に注目するようにしましょう。

外来診療、救急対応、入院患者の診療など、行ってきたことや経験は、それはすなわち「できること」になるわけです。「外来で1日20人ほどを診療してきた」「入院患者さんの癌治療に携わってきた」ということも立派な経験です。

そもそも、私のような資格なし・コネなし人間でも産業医になれているわけなので、その点はご安心を。

採用面接では、ネガティブな面に注目して話をするのではなく、こうした「今までやってきた仕事」に着目して語るようにしましょう。話を「盛る」必要はありませんが、「自分なんか…」と卑屈になることは厳禁です。

内定が出ない時の注意点

内定が出ないとき、ついつい「そうだよな、私なんかを雇うなんて企業はないよな…」なんて思ってしまい、内定が出ない=自分の能力や経歴の問題、と思ってしまいがちですが、決してそうではありません。

単に「その企業とマッチしなかった」というだけであり、「よし、次の企業を当たろう」と切り替えるべきです。もちろん、落ち込むこともあるでしょうが、それで延々とネガティブな思考のループにはまるのは百害あって一利なしです。

上手くいかないときこそ下を向いて暗くなるのではなく、上を向いて上手くいった自分の姿を想像しましょう。

アドバイスを求める

私の初めての転職の際には、「首都圏に求人が集中している(常勤産業医を募集している企業が都内およびその近郊に集中しているため)」ということすら知らずに転職活動をしていました。

ですので、「地元で産業医を」と考えていたため、いつまで経ってもなかなか求人が見つからず、手詰まり状態となってしまいました。そんな時、転職エージェントに相談したところ、快刀乱麻を断つではないですが、あっさりと問題が解決してしまいました。

また、転職エージェントに相談しておくことで、採用面接についてのアドバイス(企業の特色、採用面接で何が聞かれるのか、面接官はどのような立場の人なのか…といった情報を教えてもらえます)をしてもらえますので、ぜひ面接前に相談しておきましょう。

エムスリーキャリアや、リクルートドクターズキャリアなどの転職エージェントに相談をし、転職活動で問題がないかどうか、改めてアドバイスを求めることも大事なことだと思います。

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