トレーダー養成機関である「プリスティーン」のオリバー・ベレス、グレッグ・カプラによる書籍であり、その冒頭は成功談などではなく、「大失敗」に終わった初トレードが書かれています。
そして、それから「連戦連勝」などという話ではなく、「負けない投資のプロはいない」という前提に立ち、「大きく負けないことが重要」ということであり、損切りを確実に実施することの重要性を繰り返し説いています。
投資のプロか否かの違いについては、「その負け方を見れば分かる」と言い切っており、「損切りできず、含み損を抱える」ことが多いのはアマチュアの証拠であり、「損失を最小限にとどめることができる」ということがプロの証であると指摘しています。
2002年初版ということで、「15年も前の書籍か。今の時代に合ってないんじゃ?」などと思っておりましたが、まさに目からウロコといいますか、普段、トレードをしていて思い当たることがいくつも出てくるような話が出てきます。
たとえば、以下のようなことに心当たりがあるようでしたら、この本を一読する価値があります。
・トレードを行う上で、「3つの値」(ポジションとなる買値、損切りする価格、目標売値)を設定した上で売買を行うべきだが、行っていない。
・損切りできずに含み損が膨らんで、頭を抱えている。
・株で「常勝」「絶対に負けない方法」があるのではないかと信じ、探し回っている。
などです。特に、「絶対に負けない方法」などは「聖杯」(ホーリーグレイル)と呼び、そのようなものは存在せず、必要なのは「トレードの記録を残す。特に、なぜ負けたのか、その原因を分析して残しておく」ということだそうです。
その負けの記録、経験こそが血肉となり、トレードのスキルが磨かれていくのであり、「トレードで常勝する方法」などは存在しないとのことです。
特に、「プロでも損失を出すことは当たり前。その損失をいかに最小にとどめることができるか」「負けることこそが腕を磨き、経験値を上げる糧となる」ということは、とても参考になりました。何事も、上手くなるのに遠回りはあっても、近道はないということが身に沁みました。
こちらの本、訳者の翻訳の上手さか、筆者の文才のお陰なのか、とても読みやすく分かりやすい内容となっています。その点もオススメできるポイントであると思います。