初期研修医での外科選択、ちょっとでも迷ったら選択をオススメします「外科を経験せずして医師続けるつもり?」

臨床研修制度は現在、5年ごとに見直しがなされており、2010年には外科はローテートの必修から外れました。

日本外科学会理事長の國土氏は、「外科研修が必修から外れた影響で外科離れが進んでいる。外科研修を必修に戻すべきだ」「外科における周術期の診断学や外科治療学は医師にとって不可欠」と主張されていることもあり、今後、再び必修となる可能性もありますが、現在のところは外科を選択するかどうかについては、施設の方針や研修医本人の選択によります。

さて、そこでですが、研修医の皆さんは外科を選択すべきなのでしょうか。特に、内科やその他、外科での研修が直接的に必要ない科に進もうと考えていらっしゃる研修医の方々は、選択する必要があると思われますか?

私自身、外科を3ヶ月ほど市中病院で研修した際、そこで何をやっていたかと言えば…
1) 朝の回診に上級医と回って縫合確認、消毒・ガーゼ交換
2) オペに入って鉤引き
3) 上級医の代わりにカルテ書き
4) 術前の動脈血採血
5) 担当患者についてカンファレンスで報告
6) 当直で上級医と皮膚縫合などを含む外傷治療
…などでした。

今、役立っているということで言えば、消毒、デブリードマン、ちょっとした皮膚縫合、胸腔穿刺などで、日常診療での手技、慢性期病院における非常勤バイトでの転倒患者の対応、当直バイトなどで役に立っています。

もちろん、「それだけのために貴重な研修の2~3ヶ月を潰したくない」とお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、やはりルート確保、Aラインの確保などでも内科医よりも上手い外科医の手技を間近で見たり、アクシデントが内科よりも起こりやすい病棟にいることで、ちょっとしたことでも動じなくなって対処できるようになる、といったことが大きな収穫となると思います。

また、やはり「外科医がどう考えてるのか」「どれほど苦労して一件の手術を行っているのか」といったことを知ることによって、外科医に敬意を払って、手術依頼などを行えるようになったということも、外科研修を行ってよかったことだと思います。

要は、「一見は百聞に如かず」ということで、たった2~3ヶ月という期間でも外科を体験したかしないかでの、外科への理解度の差は大きいと思います。おそらく、初期研修の時に外科を経験しなければ、以降、ほぼ経験する機会はないでしょう。

長い医師人生の中で、たった2~3ヶ月。苦しい思いをするかもしれませんが、それも振り返ってみればあっという間だし、良い経験だったと思えるはずです。選択するか少しでも迷っている方がいれば、選択することをお勧めしたいと思います。

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