精神科で治療を受けていても、「これでは治らない」と思っている社員や患者もいます【産業医マニュアル】

倦怠感や疲労感の後に、不眠症状が現れる。遅刻・欠勤も多くなっている…という社員の話を産業医面談で聞いていますと、やはりメンタル疾患を疑いたくなるところです。

当然のことながらそこで精神科受診を勧めるのですが、結構な割合で「それで治るんですか?」という質問を受けることがあります。薬を内服したところで、出勤すればストレスの要因は変わらず存在し続けます。「それで治るんですか?」と質問したくなる気持ちも分からないではないです。

「眠れていない」というような場合、一気にガタガタと体調を崩していくケースも多いため、睡眠薬・睡眠導入剤を内服することで、改善する可能性はあると思います。ただ、根本的な改善にはならないよな、とは社員(患者)も思っているようです。

しかしながら、それでも産業医としては「受診してください」と言うことになります。診断、治療を受けてもらいつつ、「さてどうしようか」と次の手を考えるわけです。業務負荷が高すぎるようだったら、当然それを改善してもらうように人事・現場へと勧告し、人間関係が問題であれば人事側に情報提供した上で、どうすべきか相談したりします。

精神科で精神的な症状緩和をしてもらいつつ、産業医は根本原因を絶つ、もしくは改善するよう会社側へ働きかける、という役割の違いがあるわけですね。

精神科受診を躊躇うようであれば、「眠れるようにしてもらいましょう。それだけでも違いますから。それと並行して、ストレスの要因を改善するよう会社側へ働きかけます」などと言って説得することもあります。

受診することに懐疑的な社員さんが結構いるということはたしかですが、やはり必要とあらば受診を勧め、時には説得することも必要であると思われます。

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