2018年慈恵医大入試の面接試験(MMI)で問われた問題「医師か?AIか?」

東洋経済オンラインの記事「医学部入試の面接で本当に起きた「逆転合格」」の中で、2018年度東京慈恵会医科大学のMMI(MULTIPLE MINI INTERVIEW)で実際に問われた問題が掲載されていました。

離島の病院に週1回、医師が遠方よりやって来て、島民の治療にあたっている。
だが、この島にAI(人工知能)ロボットを導入したら、24時間、毎日休みなく、いつでも島民を診療可能である。AIロボットを導入した場合、医師は島の限られた予算から来られなくなるという。
あなたがこの島の村長だったとして、人間の医師とAIロボットのどちらを導入するか。なお、AIロボットの導入の予算は、製薬会社が費用を負担するものとする。

というもの。

人間の医師を選ぶべきか、AIロボットを選ぶべきか、という問題ですが、この問題で受験生の何を測るのか、ということですが、記事の筆者は
1) 高齢者医療とどの程度向き合っているか。
2) 与えられたテーマに内在する問題点を瞬時に整理・類型化し、価値対立を調整する能力を見たい。
という点を指摘しています。

まず、1) ですが、団塊世代が後期高齢者となり、高齢化社会がさらに進む2025年問題を前にして、やはり高齢者医療は避けて通れない問題ですね。さらに、2) ですが、「人間の医師を選択した場合のメリット、デメリット」「AIロボットを選択した場合のメリット、デメリット」をそれぞれ考え、整理し、総合的に比較検討することができるか、ということを見ている、ということですね。

記事内では、
人間の医師の訪問によるプラス面:
・生身の人間である医師による高齢患者への対応や寄り添う医療の重要性
・人と人のふれあいにより生まれる地域の和
・人間としての多様な会話の実現

AIロボットの島への導入のプラス面:
・AIの判断による精度の高さや常駐期間の長さ
・導入経費の負担の軽減
・過重労働への対応度

などが挙げられていました。一方、デメリットとしては、それぞれ以下のようなものがあるのではないでしょうか。

人間の医師の訪問によるマイナス面:
・週に一度しかやってこないので、不在時の診療が望めない。
・もし島での勤務ができる医師がいなくなった場合、新たな医師を採用するまでの期間、診療が行えない。
・ヒューマンエラーの存在(誤診、医療過誤が起こる可能性)

AIロボットの島への導入のマイナス面:
・人間的なコミュニケーション、医師-患者の人間同士のふれあいは望めない。
・AIロボットの導入の予算は、製薬会社が費用を負担するということで、その製薬会社以外の他社が販売する薬を使用しづらくなる可能性がある。

などでしょうか。これらのメリット、デメリットを利益衡量した上で結論を出し、分かりやすく説明できるか、という点が合否に関わってくるのでしょうね。

さすがに筆記試験で大失敗して面接で「大幅に取り返す」ということはできないでしょうけども、「ボーダーライン上」で合否を決めることもあるでしょうから、面接試験対策も今は大切なようです。

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